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【小説アスペルガー革命】Episode7:FIREへの遠い道(1)幸福をつかむための「降伏論」
人生の分岐点
父が亡くなった。突然の死だった。2回目の発作で酸素吸入をしていたので当然予想されてはいたが、まるで台風が過ぎるように逝ってしまった。
告別式と初七日を終えたあと、強烈な後悔と虚脱感が襲ってきた。なぜもっと父の願いや希望を聞き入れてあげなかったのか。そして、なぜこんなにも自分は無力なのか。
社会に出てから35年、自分なりに必死に努力してきたつもりだった。しかし、家族も作らず職を転々とし、資産も社会的地位もなにひとつ達成できなかった。
それでなくとも物価高と経済の停滞で希望が見えない現在の日本。おそらく僕以外の誰もが、とまどいと悩みのなかにいるだろう。
今後、自分の人生をこれからどうデザインし、実行していけばいいのか。それをもう一度考え直す時期に来ているのだ。
忌引休暇
「ミツル君、ちょっといいか」
職場に復帰した日、僕は直属の上司であるタナカ課長に呼び出された。障害者雇用の僕に遠慮してか、課長はめったに声をかけてこない。内心いぶかしく思いながら、会議室で課長と向き合った。
「実はな、会社の規定で連続7日間の忌引休暇を取ることができるんだ。君が希望するなら、日程を決めて私に申請してくれ」
思いがけず降って湧いた長期の休暇。これはもしかしたら、父が僕に遺してくれた「最後のプレゼント」かもしれない。
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関西在住のWebライター/文筆家のタマゴです。私の書く文章があなたの人生を豊かにすることができていれば、ぜひサポートをお願いいたします。