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【五十路MAN日記】成長ジャンキー

友達と話していて、最近特に違和感を感じることが多い。ただ、同期の連中は所帯を持ち子供がもう自立する年頃で、その一方で僕は独身で子供もなく好き勝手に暮らしている。人生に対する考え方に大きな違いがあるのももっともだ。

それにしても、と思う。みんな、早くも人生が終わってしまったかのような言い方をするのだ。正解一の平均寿命を誇る日本人、女性より男性の方が「短命」だとはいえ、まだたかだか50歳そこそこだ。

僕が子供すぎるのだろうか。まだまだ成長できると信じ、日々成長することを実感している僕にすれば、なぜ今の時点で人生に答えを出してしまうのかがわからない。

円安株高の恩恵を受けているといっても、賃金が20年間ほとんど上がらず、「好景気」が実感できない日本人。昭和の時代と違い、50歳にもなればたとえ管理職でも「役職定年」という名目で肩をたたかれる。同僚に劣らず出しゃばらず、空気を読んで上司を立てて、遅れず休まず会社に通う。サラリーマンは今や「気楽な稼業」ではなくなった。

でも、と思う。それでもまだ日本はこんなに豊かだ。少しのお金があれば飢えることなく暮らしていけるし、学ぶ機会、楽しむ場所、心安まる自然、歴史ある建造物がある。なぜこの最高の国に生まれた幸せを感じ、それを生かさないのだろうと首をかしげたくなる。

抗鬱剤(スルピリド、ロラゼパム)と睡眠導入剤(ゾルピデム)を飲むようになってからほぼ20年。今年になってようやく、スルピリドとゾルピデムなしで普通に生活できるようになった。長年取り組んできた「減薬」が、ようやく功を奏し始めたのだ。健常者は薬無しで過ごせるのが普通だが、僕のような発達障害の人間にとっては、「マイナスの状態」が普通であり、それをゼロに戻すのに多大の努力が必要だ。

みんな意識していないかもしれないけど、脳と筋肉は年令に関係なく鍛えることができるんだよ。鍛えに鍛えれば、次々と新しい扉を開くことができるんだ。こんな僕でもそれができた。生きる実感を、新しいことを知る楽しさを、そして成長できる喜びを、手にすることができるんだ。

成長こそがすばらしい。成長しなければ生きる屍。「成長することに取り憑かれた男」、それが僕なのだ。

関西在住のWebライター/文筆家のタマゴです。私の書く文章があなたの人生を豊かにすることができていれば、ぜひサポートをお願いいたします。