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【きまぐれエッセイ】「会社員の資格学習」はキャリアアップに役立つか
コロナウィルスの流行で未来の見通しがつかず「自分の仕事はこれからどうなるのだろう」と不安になっている会社員が多くなっています。
平成不況の30年間給料も上がらないのに社会保険料は上がるいっぽう。「人生100年時代」とかで定年は延長され、還暦以降もずっと働き続けなければ暮らしがままならないことは明らかです。
そうした社会情勢を反映してか、通勤電車やカフェでも資格試験の勉強に励んでいる人を結構見かけます。
ですが、はたして資格をとることは将来への安心につながるんでしょうか。
30代の頃に資格試験にチャレンジしまくった私の経験からいうと「資格取得は一部の例外を覗いてはほぼ役に立たない」と言い切ることができます。
「そんなこといったって、ほかに頼るものがないからしゃあないやん!」と言い返したい人もたくさんいるでしょう。
その理由は「その資格がないと仕事ができない特権的な一部の資格を覗いては、給料アップや昇進、雇用の安定には全く役立たないからです。
ここで会社員のみなさんを雇っている経営者の立場になって考えてみましょう。
会社経営者というのは、利益が出なければ社員に給料を払い続けることは不可能です(一部上場企業なら赤字にでもやっていけるでしょうが)。
コロナ禍の収束が見えないことに加え、最近の円高や資材が徐々に値上がりし始めており、製造業ではコストに見合った売上を上げることが難しくなっています。
度重なる蔓延防止等重点措置や緊急事態宣言の発令で売上が全く立たないこともあり、経営者自身も将来のビジネスが見通せません。
また、コロナ流行中の感染対策などの予想外のコストもかかっており、利益を上げにくくなっているので、個人が資格を取って少々スキルが上がったところで、売上にはほとんど貢献することがありません。
加えて日本の法律では、車内に抱えている「仕事のできない中高年者」をかんたんに解雇できない事情があります。
ですから、会社員のみなさんがいくら資格を勉強して個人的に達成感を得られても、それで生活が保証されるわけではまったくないのです。
...と、上から目線でエラそうに講釈をたれている私だが、いまから20年前の30代のころは、とにかくいろいろな資格試験を受けまくっていました。
日商簿記2級にシステムアドミニストレータ、中小企業診断士に公認会計士。とにかく給料の一部を突っ込んでがんばったのです。
しかしその結果、どうなったとおもいますか?
転職するのに約だった資格はなにもなく、スクーリングのための少なくないお金がなくなっただけでした。
ちょっと勉強しただけで何万人もの人が取れるような資格を取ってみたとしても、会社づとめの人間の人生は変わるものではありません。
それより、今流行りの「副業」として自分でビジネスを始めたほうが、失敗から得られる経験がたまってのちのち役に立つでしょう。
会社づとめの人間が、給料をもらいながら「片手間」で資格を取るのは「自分はこんなにがんばっているんだ」という自己満足と保険に過ぎません。
ただ、どんなルールにも例外があるように「資格を取ることがムダにならない」ことがひとつあります。
それは、自分の成長するため、自分の達成度を測るため、自分がどこまで高みに到達できるのか確かめるために資格にチャレンジするのなら、それは大いに意味のあることだと思うのです。
私も新卒で社会人になってから30年立ちました。
ここらで1周回ってふたたび、資格にチャレンジしてみようと思うのです。
もうすぐ還暦になろうかという中年のオッサンの頭脳がまだ使い物になるのかならないのか。
それを見極めるために、2022年以降はまるで20代、30代の若造のように、がっついて結果をつかみ取りにいきたいと思っています。
日本の起業家の先頭を走っている堀江貴文氏は、資格を取ることについては否定的であるようです。
「保険としての資格」のような何の役にも立たないものには私も否定的ですが、その過程で勉強したり本を読む習慣がついてきたのなら、けっしてわることではないでしょう。
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