【発達障害のトリセツ】「ジョブ・ホッパー」が社会で生き抜く方法
組織に所属するのが苦手なために、いままで30社以上も転職を繰り返してきました。
発達障害の方の中には、そんな私と同じ辛いご経験や苦い思いをされてきた方がたくさんいらっしゃることでしょう。
でも、転職回数が多いことは、決してデメリットばかりじゃないんですよ。
今回は、日本社会の常識ではなかなか認めてもらえない「アスペルガーにありがちな転職回数の多さ」という逆境をむしろ味方にした「人生を生き抜くヒューマンスキル」についてお話ししようと思います。
素早く環境になじむ「順応力」
長くても3年、早ければ1ヶ月で仕事を代わってきたので、必死になって職場環境になじまなければ生きていけ
ませんでした。
例えばそれは、職場の人間関係にとどまらず、毎日の就業時間、パソコンの種類、使用するソフトウェア、昼食を摂る場所に至るまで、あらゆる環境の変化についていくということを意味しています。
長期間にわたる環境の変化と対応の経験が、強制的にあらゆる環境に即応する「順応力」をつけさせてくれたのです。
失敗と試行錯誤から得た「経験の引き出し」
「失敗を恐れるあまり行動に移すのが遅い」とは日本人の評価としてよく言われる言葉です。問題なのは、日本人の「100点満点主義」。
失敗しようがないレベルまで物事を突き詰めないと、アクションが起こせないのです。
一方、それとは大正的なのがインド人。下記のプレジデントオンラインの記事によると、「60点主義」であることが大きな強みだといいます。ビジネスでだいたいの目鼻と目算がついたらすぐにゴーサインを出すので、話がとにかく早い。
当然ながらそのぶん結果も早くわかるので、たとえ成功だろうが失敗だろうが、状況に応じてすばやい対処やリカバリーを取ることができるのです。
私はパワハラやイジメの体験を真っ正面から受け止め自分を見つめ直すことで、そうした経験を「多様な引き出し」に変えることができ、どんな逆境にも冷静に対処する力を身に付けられたのです。
付き合うべき人を見分ける「観察眼」
会社組織で出会う人々は学生時代の友達と違い、誰もが自分と仲良く付き合ってくれるわけではありません。
そもそも人間といういきものは「自分のことが一番大事」でありながら「想像する以上に損得感情に敏感」です。
そこで必要となってくるのが、果たして目の前の人間が今後長期間にわたって付き合うのに値するのかどうかを見極める「眼力」です。
こうした人を見る目がないと、自分をいいように利用したり悪い仲間に引っ張りこんだりする人を避けることができません。そうなると自分がいくら性格が良くて才能に恵まれていたとしても、結果的に悲惨な人生を歩むことになるでしょう。
私が過去30年間の経験から得た一番貴重なヒューマンスキルは、この「わずかな時間で人となりを見抜く力」だと思っています。
★★★
私はまだ50代半ばなので、もちろんまだまだ未熟なところはあります。健常者と比較すれば、「世渡り」という面ではとても及ばないことも理解しています。
しかしながら、かなりの時間を費やし結果的に遠回りをしたものの、こうしたスキルを多少なりとも身に付けられたことは、これからの人生を送る上でとても大きなアドバンテージになると感じます。
「順応力」、「経験の引き出し」、「観察眼」。発達障害の読者のみなさんも、もし人間関係がうまくいかなくて悩んでおられるのなら、日々のつらい経験をこうしたスキルに転換できるように気持ちを切り替えてみてはいかがでしょうか。
関西在住のWebライター/文筆家のタマゴです。私の書く文章があなたの人生を豊かにすることができていれば、ぜひサポートをお願いいたします。