3 降水過程(21/21問)仮公開
1 令和5年度第2回(通算61回)問5
解法の確認
最初にお断りしますが、筆者の力不足で微分抜きで説明することができませんでした。問題自体は簡単なのですが、それは数学の力に頼ればこそ、ということです。
降水過程に関する計算問題は、大抵の場合は微分抜きで解けるようになっているという印象だったのですが、どうも今回の問題に限って違うみたいです。
(a) の検討
まずは、大きな水滴が単位時間当たりに通過する体積を考えると、
$$
V=πR^2W
$$
となります。
単位体積当たりの小さな雨滴の質量は$${mn}$$なので、単位時間当たりの質量の増加量は、
$$
V\times mn=πmnR^2W
$$
となります。
(b) の検討
水滴は球であるので、これの単位時間当たりの質量の増加量は、
$$
\dfrac{d}{dt}\dfrac{4}{3}πR^3 = πmnR^2W
$$
これを変形すると、
$$
\dfrac{dR}{dt}\dfrac{d}{dR}\dfrac{4}{3}πR^3 = πmnR^2W
$$
$$
\dfrac{dR}{dt}4πR^2 = πmnR^2W
$$
$$
\dfrac{dR}{dt} = \dfrac{mn}{4}W
$$
以上より、単位時間当たりの半径の増加量は$${W}$$に比例します。
(c) の検討
先ほどの結果を用いると、
$$
\dfrac{dR}{dt} = \dfrac{mn}{4}kR^{1/2}
$$
右辺に注目すれば、$${R}$$が増加すれば、左辺の単位時間当たりの半径の増加量も増加することが分かります。よって、「大きく」が正解です。
さて、落ち着いて式を立てれば機械的に解ける問題なので、見かけほど難しくはありません。実際、私も本場では落ち着いてきちんと正解を導くことができました。しかし、帰宅後に問題用紙を読んだら、なぜか⑤を囲んでいました。何度も見直したはずなのに、不思議な力によってマークシートには⑤を塗り潰してしまったかも知れません。自己採点では、不正解として換算しました。
2 令和5年度第1回(通算60回)問4
知識事項の確認
降水過程では、本問のように知識事項が主に問われるパターンがあります。計算問題が苦手な方は、こちらのパターンを絶対に落とさないようにしてください。
以下の事項を覚えておけば、とりあえず何とかなります。
凝結核は氷晶核より多い
氷晶と過冷却水滴が同居すると、氷晶が育つのが早まる(原理も押さえること)
湿った氷粒子の方が乾燥したものよりくっつきやすい
空気が乾燥していると、雪片が降水中溶けにくい
(a) の検討
基本知識です。凝結核の方が氷晶核よりも多いので、「正」となります。
(b) の検討
これも頻出のパターンです。過冷却水滴よりも氷晶の方が飽和水蒸気圧が低いので、過冷却水滴由来の水蒸気が氷晶に集まって凝固(昇華)します。理屈がイメージできない場合は、再度お手元の参考書を読み込んでください。必ず説明が載っています。正解は「正」です。
(c) の検討
イメージしやすいでしょうが、温度が高く氷粒子が湿っている方が、お互いにくっつきやすくなります。つまり、温度に依存するので、「誤」となります。
(d) の検討
実技試験でも問われることの多い重要事項です。雪は、空気が乾燥していると蒸発しやすく、蒸発する際に気化熱により雪そのものは冷やされて溶けにくくなります。これは必ず覚えてください。正解は「誤」となります。
3 令和4年度第2回(通算59回)問4
知識事項の確認
今回も知識事項を問われるパターンです、計算問題が苦手な方は必ず解けるようにしましょう。
今回押さえておくべき事項は以下の通りです。
水滴の併合過程では、大きさの異なる大小さまざまな水滴がある方が成長が早い
氷晶の成長は、水蒸気の昇華によるものもある
純粋の水滴は小さいほど表面張力が大きく凝結しにくく成長が遅い
エーロゾルを凝結核とした場合、飽和蒸気圧が下がり成長が早くなる
ざっくりですがこれで良いと思います。詳細はお手元の参考書を読んでください。
(a) の検討
不平等は更なる不平等を加速する、というやつですね。したがって「誤」となります。
(b) の検討
降雪は必ずしも衝突・併合過程によってのみ発生するわけではありません。正解は「誤」です。
(c) の検討
小さな水滴は表面張力が強く、表面張力が強いと飽和水蒸気圧が大きくなり(水蒸気をはじくイメージ)、凝結が遅くなります。よって、「誤」となります。
(d) の検討
エーロゾルを凝結核とすると、その種類に応じて飽和蒸気圧が低下し、凝結しやすくなりす。人工降雨も、性能の高いエーロゾルを散布することで行われています。よって、「正」です。
4 令和4年度第1回(通算58回)問4
知識事項の確認
重箱の隅をつつくような問題です。残念ながら、覚えるしかありません。
それほど多くはありませんが、表現を紛らわしく変えながら出題されることがあるのが、雪の結晶の形状に関する問題です。結論から言えば、結晶の形は気温と過飽和度で決まるそうです。
また、ひょうの生成過程も頻出です。それほど紛らわしい出題のされ方はないので、確実に正解できるようにしましょう。以下のページに解説がありますので、直接「聖典」の言葉で理解してみてください。
(a) の検討
雪の結晶の形状は、過飽和度と気温で決まります。設問には「気温」が含まれていないので「誤」となります。
※個人的には「過飽和度のみ」とまでは言っていないので、「正」でも良いと思います
(b) の検討
科学的事実はさておき、イメージとしては暖かくて湿っていると、べちょりと付着しやすいのでした。よって、「誤」となります。
(c) の検討
氷晶が落下中に過冷却水滴に衝突し、その過冷却水滴が氷を包み込むように凍結すること(ライミング過程)や、単なる衝突の衝撃により付着することで大きな氷の粒になったものがあられです。よって、「誤」となります。
(d) の検討
あられと同様のメカニズムで氷晶が成長し、加えて強い上昇気流により上昇と落下を繰り返しながら大きくなり、直径が5mmを超えたものがひょうです。よって、「正」となります。
5 令和3年度第2回(通算57回)問5
知識事項の確認
エーロゾルについていくつか押さえておきましょう。
氷晶核エーロゾルよりも凝結核エーロゾルの方が多い
海上よりも陸上のエーロゾルの方が多い
水溶性エーロゾルの存在によって、湿度100%未満でも凝結することがある
氷晶核エーロゾルによって、過冷却水滴が氷晶になる温度が大幅に上昇する
(a) の検討
氷晶核エーロゾルよりも凝結核エーロゾルの方が多いので、「誤」となります。
(b) の検討
海上よりも陸上の方がエーロゾルが多いです。塵が多いからエーロゾルも多い、というイメージで覚えてください。よって、「誤」となります。
(c) の検討
エーロゾルの存在によって、水蒸気が凝結しやすくなります。状況によっては、湿度100%未満でも凝結することがあるそうです。よって、「正」となります。
(d) の検討
エーロゾルの助けがなければ、過冷却水滴は-20℃付近で氷晶になり始め、-40℃でほぼすべてが氷晶になります。例えば、ヨウ化銀というエアロゾルであれば、この温度を-8℃まで上昇させますが、0℃を下回ってすぐという温度まで上昇させることはありません。よって、「誤」となります。
6 令和3年度第1回(通算56回)問4
知識事項の確認
今回は計算問題も含まれているのですが、試験本番でこれを厳密に議論するのは現実的ではありません。結果を覚えてしまいましょう。どうしてもこだわるのであれば、合格後にじっくり取り組みましょう。
(a) の検討
計算問題かと思いそうですが、冷静に考えれば定性的な議論だけで判断できます。
単位時間当たりの水滴の増加量が一定ならば、半径は三乗に比例するので、単位時間当たりの半径の増加率は徐々小さくなることが分かります。良く分からない人は風船を膨らましてください。とにかく「正」となります。
(b) の検討
細かい理屈は少々難しいので、例によってイメージで覚えましょう。例の「金持ちはどんどん豊かになる」というやつです。水滴が大きくなると質量も増加し、空気抵抗を振り切って更に速度を増します。そうすると、更に多くの水滴を吸収合併します。よって、「誤」となります。
※理系の方は、一度きちんと自分で計算してみてください。「平成28年度第1回(通算46回)問4」の(d)に解説があります
(c) の検討
これはもう理屈ではなく事実を覚えるしかありません。暖かい雨では、水滴が衝突・併合過程によって、1時間よりも早く雨が降り始めます。よって、「誤」となります。
(d) の検討
そんなに大きな雨滴は観測されていません。最大でも8mm程度で、それ以上は、降水中に衝突により分裂してしまうそうです。よって、「誤」となります。
7 令和2年度第2回(通算55回)問4
知識事項の確認
そろそろ一巡したと思います。本問題は記憶の定着のためだと思って解きましょう。
(a) の検討
似たような問題を解いていると思います。-40℃になると、氷晶エアロゾルが存在しなくても、ほとんどの過冷却水滴が凍り氷晶が生成されます。そのことは正しいのですが、設問では「一般論として、氷晶というもののほとんどが過冷却水滴が-40℃で凍ってできた」ということを主張しています。紛らわしいですね。もちろん、エアロゾル経由のものがあります。よって、「誤」となります。
(b) の検討
氷晶になると、水でいるよりも分子の動きが小さくなり、元気よく空気中に飛び出せなくなるというイメージです。したがって、過冷却水滴から飛び出した水の分子を氷晶が補足し、どんどん私腹を肥やしてしまいます。よって、「正」となります。
(c) の検討
金持ちはどんどん金持ちになります。雨滴や氷粒子の成長は資本主義の宿痾と同じである、と覚えましょう。よって、「誤」となります。
(d) の検討
これも似たような問題を解いていると思います。雪の結晶の形は、空気の過飽和度と気温によって決まります。よって、「誤」となります。
8 令和2年度第1回(通算54回)問5
知識事項の確認
霧に関する問題です。実技試験でも移流霧のメカニズムに関して出題されたことがありますので、ここでしっかり覚えておきましょう。
放射霧:晴れた風が弱い日の夜から朝にかけ、地表面が放射冷却によって冷えた結果、これに接する空気も冷やされて発生する霧
移流霧:暖かい空気が冷たい地表面や海面上に移動し、冷やされた結果生じる霧
蒸気霧:暖かい川や海、湖などがその上の冷たい空気に接して生じる霧
滑昇霧:暖かく湿った空気が山や丘を登り、断熱膨張により冷却されて生じる霧
前線霧:温暖前線による長雨の際に、高湿度の大気に対して比較的高温の雨が降り注ぎ、水蒸気量が増加したことによって生じる霧
(a) の検討
霧を雲と読み替えてみましょう。本質的には同じ現象です。よって、「誤」となります。
(b) の検討
暖かい空気が冷たい海の上に流れ込むことで発生します。よって、「誤」となります。
(c) の検討
放射霧の説明です。風が強いと、折角湿度の高い空気が出来上がっても、吹き飛ばされて一からやり直しになってしまうイメージです。ダイエットみたいなものですね。頑張ったって、結局土日でパアになります。とにかく「正」となります。
(d) の検討
まさに前線霧の説明そのものです。よって、「正」となります。
9 令和元年度第2回(通算53回)問6
知識事項の確認
エーロゾルに関する問題です。似たような問題なのでさすがにうんざりしますが、耐えて解きましょう。
(a) の検討
エーロゾルによって飽和水蒸気圧が低下し、それによって水蒸気になりにくくなります。つまり、より高い温度でも凝結しやすくなります。よって、「誤」となります。
(b) の検討
エーロゾルという不純なものから先に凝結していきます。純粋なものはいつでも取り残されて、損をするのです。よって、「誤」となります。
(c) の検討
これは罠です。暖かい雨の説明で、衝突・併合過程では1時間より短い時間で降水が始まるとありましたが、今回は「凝結過程のみ」です。凝結過程の場合の水滴の成長は風船を膨らますのと同じで、最初は膨らむのも早いですが、徐々に鈍化します。そのため、1時間では降水にまで至らないそうです。似たような問題に惑わされないでください。とにかく「誤」となります。
10 令和元年度第1回(通算52回)問5
知識事項の確認
頻出の雲粒の成長過程です。凝結と衝突・併合による2種類の過程があります。それぞれの性質やその違いを理解してください。
(a) の検討
雲粒が小さいと表面張力が強くなり、過飽和度は高くなります。よって、「誤」となります。
(b) の検討
例の風船を膨らませるやつです。徐々に大きくなりにくくなります。よって、「正」となります。
(c) の検討
雲粒が大きくなると、重要が増え、空気抵抗を振り切って更に速度を増します(空気抵抗も増えますが、それ以上に引力が増します)。金持ちはますます金持ちになるというアレですね。よって、「誤」となります。
(d) の検討
不平等は更なる不平等を招きます。よって、「誤」となります。
11 平成30年度第2回(通算51回)問5
知識事項の確認
いい加減うんざりしますが、我慢して頭に刻んでください。私はもうこの試験を二度と受けたくないですが。
(a) の検討
-40℃になると、さすがほとんど凍ってしまいます。よって、「誤」となります。
(b) の検討
凝結核の方が多数派です。「誤」となります。
(c) の検討
氷の方が水よりも飽和蒸気圧が低いからでしたね。これは「正」となります。
(d) の検討
雲粒捕捉成長というのは、大企業が次々の中小企業を吸収合併するやつでしたね。これはまさにあられの成長の原動力です。よって、「正」となります。
12 平成30年度第1回(通算50回)問4
知識事項の確認
エーロゾルに関する問題です。そろそろ飽きてきたと思いますが、記憶の定着のために頑張りましょう。
(a) の検討
相対湿度が101%をこえても水滴が生成されないのであれば、当然1%以上余分な過飽和度が必要になると言えます。よって、「正」となります。
(b) の検討
似たような問題があったと思います。エーロゾルによって、相対湿度が100%以下でも凝結することがあります。「正」となります。
(c) の検討
陸上の方が海上よりもエーロゾルが多いのです。これは「正」となります。
13 平成29年度第2回(通算49回)問4
解法の確認
久しぶりの計算問題です。ちょうどいい息抜きになりますね。
(a) の検討
左辺に重力、右辺は空気抵抗として力のつり合いを考えます。
$$
\frac{4}{3}πr^3ρg=k\timesπr^2\times v^2
$$
これを速度$${v}$$について解くと、
$$
v=(\dfrac{4ρg}{3k}r)^{1/2}
$$
よって、$${1/2}$$が答えになります。
(b) の検討
半径が2倍になったら速度は$${\sqrt[]{2}=1.4}$$倍になります。
$$
8.8\div1.4=6.3
$$
以上より「①」が解答です。
14 平成29年度第1回(通算48回)問4
解法の確認
今回も計算問題です。ちょっと傾向が違うので楽しめそうです。
(a) の検討
円柱側面の面積と流入速度、比湿と空気密度を掛け合わせるだけです。
$$
2πrH\times ρqv
$$
よって、$${ρqv}$$が答えになります。
(b) の検討
上記式に代入して$${P}$$について解くと、
$$
πr^2P/3600 = 2πrH\times ρqv
$$
$$
P = \dfrac{7200H}{r}\times ρqv = \dfrac{7200\times 1000}{7200}\times 1\times 2\times 10^{-2} \times 2 = 40 [mm/h]
$$
以上より「⑤」が解答です。
15 平成29年度第1回(通算48回)問5
知識事項の確認
暖かい雨と冷たい雨のメカニズムについての問題です。知識の整理として良い問題だと思います。
(a) の検討
暖かい雨は冷たい雨とは異なり、その過程で氷晶は生成されません。よって、「凝結」となります。
(b) の検討
氷面と水面の飽和蒸気圧の差(氷面の方が低く過飽和になりやすい)によって、氷晶が成長しやすくなるという話です。もうさすがに覚えたと思います。「低」となります。
(c) の検討
(b)で説明した通りです。これは「過飽和」となります。
以上より「⑤」が正解です。
16 平成28年度第2回(通算47回)問5
知識事項の確認
新たに学ぶことは少ない問題です。一応覚えておくと良いこととしては、日本国内では約8割が冷たい雨である、ということでしょうか。
(a) の検討
「単位時間当たりの質量の増加量」というのがポイントです。「増加率」ではありません。そのことに注意すれば、金持ちはどんどん金持ちになるので、「誤」となります。
(b) の検討
べちゃりとくっつくやつですね。気温が低いと乾燥してくっつきにくいです。つまり「誤」となります。
(c) の検討
実技でも問われることのある基本事項です。空気が乾燥していると、降下中の雪片の表面が昇華しやすくなり、その際の気化熱で雪片が冷却され、溶けにくくなります。よって、「誤」となります。
(d) の検討
日本は中緯度帯で、暖かい雨は余り降りません。これは「正」となります。
17 平成28年度第1回(通算46回)問4
知識事項の確認
エーロゾルに関する細かい知識が含まれます。折角なので久しぶりに聖典を確認してみましょう。
(a) の検討
ちょっと迷う問題です。エーロゾルよりも小さい水滴はエーロゾルを含まないだろうから、純水しかあり得ない、そういう理屈を考えてしまいます。しかし、エーロゾルは意外と小さいので、「誤」となります。
聖典での街頭部分を確認してみましょう。
(b) の検討
これはもう大丈夫だと思います。「正」となります。
(c) の検討
単位時間当たりの半径の増加率です。これは風船を膨らますやつですね。よって、「誤」となります。
(d) の検討
これは即座に判断がつきません。しかも、計算するのは少し面倒です。苦手な方は結果を覚えておきましょう。
「平成29年度第2回(通算49回)問4」を参考に、雨滴と重力、空気抵抗の力のつり合いを考えます。※水滴は全て球と仮定します
$$
\frac{4}{3}πr^3ρg=k\timesπr^2\times v^2
$$
$$
v=(\dfrac{4ρgr}{3k})^{1/2}
$$
空気中の単位体積当たりの雨滴の数密度$${n}$$とそれぞれの質量を$${m}$$とします。その上で、雨滴の単位体積当たりの質量の増加量を考えます。
$$
v\timesπr^2 \times nm=πr^2nm(\dfrac{4ρgr}{3k})^{1/2}
$$
上記の右辺が水滴の単位時間当たりの質量の増加量であるので、
$$
\dfrac{d}{dt}(\dfrac{4}{3}πr^3)=πr^2nm(\dfrac{4ρgr}{3k})^{1/2}
$$
単位時間当たりの半径の増加率を求めると、
$$
\dfrac{dr}{dt}\dfrac{d}{dr}(\dfrac{4}{3}πr^3)=πr^2nm(\dfrac{4ρgr}{3k})^{1/2}
$$
$$
\dfrac{dr}{dt}4πr^2=πr^2nm(\dfrac{4ρgr}{3k})^{1/2}
$$
$$
\dfrac{dr}{dt}=\dfrac{1}{4}(\dfrac{4ρg}{3k}r)^{1/2}
$$
となりました。つまり$${r}$$の1/2乗に比例して単位時間当たりの半径の増加率は増大します。よって「誤」となります。
※これは「令和3年度第1回(通算56回)問4」の(b)について厳密に計算したものです
以上より「④」が正解です。
18 平成27年度第2回(通算45回)問4
知識事項の確認
新たに学ぶことのない問題です。解説を作るのが苦痛になってきました。
(a) の検討
水溶性エーロゾルにより、相対湿度が100%未満でも凝結することがあります。よって、「正」となります。
(b) の検討
風船を膨らますときの感覚を思い出しましょう。最初は早いですよね。つまり「正」となります。
(c) の検討
一瞬何を言っているのか分かりませんが、例の氷面の方が水面よりも飽和蒸気圧が低いということの言い換えにすぎません。よって、「正」となります。
19 平成27年度第1回(通算44回)問4
解法の確認
知識事項を問う問題ばかり解いていると、たまの計算問題が楽しく感じますね。
速度が$${R^2}$$に係数$${k}$$で比例すると仮定し、更に単位体積当たりの小さな水滴の数密度を$${n}$$、平均質量を$${n}$$とすると、
$$
\frac{d}{dt}(\frac{4}{3}πr^3ρg)=kR^2\timesπR^2\times nm
$$
これを変形して、
$$
\frac{d}{dt}(\frac{4}{3}πr^3ρg)=kπnmR^4
$$
左辺が単位時間当たりの質量の増加率で、右辺は$${R}$$の4乗に比例しているので、「④」が正解です。
20 平成26年度第2回(通算43回)問4
知識事項の確認
強い既視感を感じます。つまり、合格に近付いたということでしょう。
(a) の検討
過飽和度と気温によって雪の結晶の形状は決まります。よって、「誤」となります。
(b) の検討
後半の結晶の形状による付着のしやすさは初めて問われますが、樹枝状の方がいかにも絡まりやすい形だと思えます。つまり「正」となります。
※一度「雪の結晶」で調べてみてください
(c) の検討
氷晶の成長としては正しい説明ですが、あられの成長は違います。氷晶が落下中に過冷却水滴に衝突し、その過冷却水滴が氷を包み込むように凍結すること(ライミング過程)や、単なる衝突の衝撃により付着することで大きな氷の粒になったものがあられです。よって、「誤」となります。
(d) の検討
ひょうの成長の説明です。いい加減飽きてきましたね。とにかく「正」となります。
21 平成26年度第1回(通算42回)問4
知識事項の確認
強い既視感を感じます。つまり、合格に近付いたということでしょう。
(a) の検討
不平等が更なる不平等を招きます。よって、「正」となります。
(b) の検討
一瞬迷います。エーロゾルが存在しない場合については知っていると思います。-40℃くらいになれば純粋な過飽和水滴もほぼ凍結する、というやつでした。今回はー20℃の場合です。
そこで、知識を追加すると「-20℃付近から徐々に過冷却水滴が凍結し始め、-40℃ではほぼすべて凍結する」となります。つまり「正」となります。
(c) の検討
氷晶核よりも凝結核の方が多いです。よって、「誤」となります。
(d) の検討
そんなことはありません。例の氷面と水面の飽和蒸気圧の差のパターンもあります。よって、「誤」となります。
本解説で使用した問題の著作権は一般財団法人気象業務支援センターに帰属します。本問題に対する解説は同センターから許可を受けた上で作成した筆者独自のものであり、同センターのものではありませんのでご了承ください。
また、本解説は筆者個人の理解に基づいて制作したものであり、その科学的妥当性を保証されたものではないことをご了承ください。