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エッセイ | 温かいコーヒーが飲みたい
毎日コーヒーを飲む私にとって冬は耐え忍ぶ季節だ。夏であればアイスコーヒーを作って冷蔵庫で冷やしておく。そうすればいつでも冷たいコーヒーが飲める。ホットコーヒーをいれたとしても液体の温度は急激に下がらない。
ただ冬は違う。冬はアイスコーヒーをあまり飲まない代わりにホットコーヒーを飲む。ホットこそコーヒーを楽しめる飲み方だとなんとなく思っているため、ついつい飲み過ぎてしまう。しかし、冬のホットコーヒーはすぐに冷めてしまう。それが問題なのだ。
私はドリップやマキネッタでいれたコーヒーはポットに入れ、そこからカップへ注ぐようにしている。そのため、1カップ飲み終えた頃にはポットのコーヒーは少しだけ冷めている。
フレンチプレスでいれたコーヒーも同じだ。1カップ飲んだ後に残りのコーヒーを注ぐと少しだけぬるい。
そこまで気になることでもないのだが、やっぱり温かいコーヒーを飲みたいものだ。飲んだコーヒーが喉から食道を通り胃に流れ着くのを感じながら「五臓六腑に染み渡るな」とつぶやきたい。
しかし、1カップごとに新しくコーヒーをいれるのは手間がかかる。一度に2カップ分のコーヒーをいれられるのであれば、それはありがたくいただく。
以前、京都のケーキが有名なお店に行ったことがある。私は全然知らなかったのだが、友人が絶対に行きたいというものだからケーキを食べに行ったのだ。私はケーキとコーヒー。友人はケーキと紅茶といった具合に注文をし、それぞれのケーキを楽しんでいた。
お店の雰囲気は貴族の屋敷みたいに豪華でキレイ。見方を変えれば殺人事件が起きそうなお館みたいだった。そう思うとスタッフも執事のように見えてくる。非日常な空間で飲むコーヒーは格別だったし、コーヒーの提供方法に感激した。
このお店はコーヒーを注文すると保温ポットにコーヒーを入れて提供してもらえる。1カップ飲んで2カップ目を注いでも温かいコーヒーが飲めるなんて最高の気分だった。
この方法をまねれば家でも温かいコーヒーを飲み続けられると考えた私はすぐに保温ポットを買おうとしたが、その時に違う商品が目に留まった。『ダブルウォール フレンチプレス』という商品だ。これはフレンチプレスで有名なBODUMが販売している商品で、保温能力を備えたフレンチプレスだ。
「買うしかない!」と思ったが、当時の私は1万を超える金額に太刀打ちできず、購入を諦めたのだった。
最近、Amazonがセールを開催していた。「もしかしたら」という思いを押し殺しながら『ダブルウォール フレンチプレス』を検索すると、セール対象品として半額になっているものを見つけた。
「買うしかない! 今しかない!」私はやっとのことでこの商品を手に入れた。これで2カップ目も温かいコーヒーを楽しめる。
商品が届くとすぐにコーヒーをいれた。容量も350mlではなく500mlの商品にしたため3カップは飲める。
「もしかしたら飲み切れないかもしれないな」なんて思いながら1カップ目を飲む。温かい。
2カップ目もはじめと同様に温かい。私の望んでいた温かさがここにある。
「五臓六腑に染み渡るな」3カップ目も当然のように温かかった。
気付くと私は1時間半でコーヒーを3カップ飲んでいた。なんだか、バカな飲み方をしたと反省してしまった。
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