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「いいからやれ!」 30年ぶりのギターが超楽しい
2020年5月、30年ぶりにギターを弾いた。
きっかけは、オレとは滅多に話さない中3の次男坊。新型コロナ自粛で学校も長いこと休みとなり、暇で暇でということもあったのだろう。
「ギター欲しいんだよね」って、珍しく話しかけてきた。
多分こいつは分かっている。
自分のオヤジはあっさりギターを買ってくれるであろうことを。
オヤジも実はギターを欲しがっていて、もしかしたら自分よりオヤジの方がギター欲しい熱が高いことを。
息子に言われたら、買ってやるさ。
二つ返事で買ってやるさ。
そりゃあ、そうさ。
過保護な親というか、そのとおりさ、オレもギター欲しかったんだ。
30年以上も前、そうね、1988年くらい、渡辺美里とか尾崎豊とかレベッカとかブルーハーツとか、そんな時代。オレが失恋して、浪人もして、駿台予備校に通ってた頃、お茶の水の楽器屋さんでMorrisのフォークギターを買った。それが初めて買ったギター。一万円程度の初心者モデル。当時はコードののった初心者用の教則本でジャカジャカやって。とにかく指が痛くて。指先がほんの少し固くなると、ちょっとだけ上手くなったような気になって。
大学でも少しやったけど、コードをいくつか弾ける程度の域はでず、人前で弾けるほどのものではなかったな。歌本をみて、難しそうなコードの曲はスルーしてページをめくり、弾けるコードの曲だけをジャカジャカやって。だけど、それだけで十分楽しかった。
あのギターはどこにいったのかな。今もまだ実家にあるのかな。
現在50才のオレ。ギターに関しては18才から一つも進化していない。
さて、中3の次男坊にはじめて買ってあげるギターは、エレキ? アコギ? エレアコ?
そこは迷わなかった。
30年前、オレがギターに今一つはまらなったのは、弦を押さえる指先がとにかく痛かったから。
ヘタレだ。
でもその遺伝子を持つ息子も、なかなかのヘタレだ。
だから、ここは迷わず、クラシックギターだ。ガットギターともいう。
ナイロン弦のクラシックギターなら、指先も痛くならないし、音もアコギよりは小さめで優しい。アマゾンやヤフーや楽天で、いろんな口コミを参考にして、たどり着いたのはヤマハのY40J。通常のギターより一回り小さく、フレット数も少ないミニギターながら、一万円ちょっとで買える。
まずは指先の痛みに挫折することなく、もしこれでギターにはまったら、次はきちんとしたの買えばいいからね。
新型コロナで家にいる時間が長いからか、同じようにギターを始める人が多いらしく、届くまでにずいぶん時間がかかったけれど、ゴールデンウィークか終わる頃、我が家にギターがやってきた。
まずはチューニングから教えてやらないとな。ちょっとギターをかじったことのあるオヤジは、得意げにでしゃばろうとして、びっくらこいた。
時代が違うのな。
チューニングって音叉じゃないのな。
音叉を膝に当てて鳴らし、耳元でラの音を覚え、弦をラー、ラーと調整してた頃と違うのな。
チューナーって、こんなちっこくて便利なものが千円で買えるのな。スマホのアプリでもあるのな。
もっと驚いたのは、ユーチューブ。
いや、もちろん、ユーチューブはよく知ってるし、よく見てるよ。米津玄師も欅坂46も、合気道も、ピアノも、よく見てる。
だけどギターは見てなかったからさ。
本当、時代が違うのな。
教則本を買うでもなく、中3の次男坊はいつの間にか家のプリンターでテキストをプリントアウトしていた。
テキストのタイトルは「初心者はとりあえずコレ弾け!!」。
「糸」、「桜坂」、「ロビンソン」など、馴染みのある、しかもオレの好きな曲のコードが並ぶ。
そしてこれらの曲はユーチューブのレッスン動画と連動しているという。
そしてこれが全部タダ。無料ですと。
マジかー!!
すんげーいい時代だー!!
そのテキストは、瀧澤克成さんという、ユーチューブでは有名なギタリストが作ったのだと、中3の次男坊に教えてもらった。チャンネル登録者数22万人ですと。
そして、その瀧澤さんのユーチューブを見て素直に感動した。
無茶苦茶分かりやすくて、丁寧で、そして何より楽しい。
Gコードの押さえかた、そっちの方がよかったのかと、30年ぶりに知った。
「弾けないのは当たり前です。そんなもんです。そんなもんです」
と、なんだか妙にポジティブに背中を押してくれる。
そしてこれらが全部タダだとー。
マジかー!!
すんげーいい時代だー!!!
瀧澤さんのことを初めて知ったのはそのときで、つまり中3の次男坊に教えてもらった。これは次男坊に感謝だ。大感謝だ。
ギターって、大抵の場合、独学だと思っていたし、コードの理論とか、練習方法とか、
そんなこと知りもしなかった。
ちなみにオレはピアノも好きで、こちらも完全に独学。だけど、ダイアトニックコードなんて言葉、知らなかったさ。
それをきっかけに、ユーチューブの旅がはじまったのだけど、ユーチューブって、本当すごいな。
スマホの中に、すんばらしい先生がたくさんいる。
前述した瀧澤克成さんは、ギター講師としても素晴らしいのだけれど、歌や曲もとてもよくて、何よりその明るい人柄にすっかりファンになってしまった。
Yukaギターのゆかさんは、癒し系というか、天然系というか、独特な雰囲気にホンワカして、なんとも和む。
こーじゅんさんのスーパーマリオはかっけー。ギターってすげーなー、って思う。
成長する楽しさ、上手くなる楽しさがギターにはある。
何しろ、何も弾けないところから始めるのだから。
伸びしろだらけだ。
伸びしろしかない。
跳び跳ねてしまいそうな喜びではなくて、小さくガッツポーズをするような、ささやかなささやかな楽しみ。
Gコードを抑える小指がスッと動くようになった。
指をはずすだけで、違うコードになることを知った。
Fコードがきれいに響くようになってきた。
ドレミファソラシドの位置関係の仕組みを知った。
知らなかった世界を学ぶ楽しみ。真面目にノートを広げて、ダイアトニックなんてメモしたりする。
ああ、勉強って面白かったんだな。
仕事は相変わらず超きつくて、プレッシャーで眠れない夜や、やけに早く目覚めてしまう朝や、重い気持ちのまま仕事を持ち帰る週末もある。
でも、ギターがある。
歌がある。
ユーチューブがある。
あと、酒もある。
コロナで世界はすっかり変わってしまって、迂闊なことを軽々しくは言えないのだけれど、それでも、変わってしまった世界をどう受け止めて、どう感じて、どう過ごしていくか。
コロナ自粛がきっかけで再会した30年ぶりのギターは超楽しくて、お酒を飲みながらユーチューブのライブを見るという、新たな至福の時間が生まれて。
すぐに飽きるかと思っていた次男坊も、オレの知らないところでなにげに練習しているみたいで、キレイな音でコードが響くようになってきた。
だけど、オレの方がギター触っている時間長いと思うけどね。
ギターの取り合いというほどにはなっていないし、オレはちっとも上達しないけど、やっぱりミニギターではなくて、フレット数がきちんとあるのが欲しいな、なんて思ったり。次はエレキがいいかな、やっぱりヤマハかな、なんてネットで情報収集し始めたりして。
ろくに弾けもしないのに、楽器や楽譜が欲しくなる悪い癖が、ついついでてしまう。
いいからやれ!
とりあえずコードの少ない簡単なやつ、瀧澤さんのテキスト「初心者はとりあえずコレ弾け!!」の第六章「TRAIN TRAIN」をかき鳴らそう。
さあ、練習、練習。
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