#テレ東シナリオコンテスト 知らない人んち(仮) 第1話 イエローマジック
下記企画のシナリオです。
第1話 イエローマジック
■3:00PM
〇和室
コンコンコン、ノックの音。
キャン「大丈夫? 入るねー」
と、入ってくる。
きいろ、慌てて指で口角をあげ、笑顔をつくる。ニコッ。
キャン「どう? 何か気になることはある?」
きいろ「へ? (心の声)何もかもが気になります!!」
キャン「ねー私カメラ映りどうかな? さっき撮ったのちょっと見せてよ」
きいろ「え、あ、大丈夫ですよ、キャンちゃんさん、すっごい美人。それに最終的に編集したのちゃんと見せますから」
キャン「今見せて、ちょっとだけ」
きいろ「(心の声)味方にするなら、まずはこの娘からか」
きいろ「えー、あーじゃあ、ちょっとだけですよ」
とスマホを見せる。
0話の動画、いくつか。
きいろ「ほら、きゃんちゃんさんスーパー美人」
キャン「うふっ。ありがと。もっと前は?」
きいろ「えっ?」
と、さらに動画をいくつか再生。
●動画(0話)
きいろ「体は売らない」
きいろ「自分で見るの恥ずかしいな」
キャン「いきすぎ、もっと後。私達が出会ったところ」
きいろ「ああ、じゃあこれだ」
と動画再生する。
●動画(0話)
きいろ「すいませーん。ちょっと今お話しいいでしょうか。あの、それは今何を?」
ジェミ「落とし物しちゃって」
きいろ「あのー、私ユーチューバーやってるきいろって」
キャン、動画をしれっと見て、
キャン「大丈夫じゃん」
きいろ「え?」
キャン「いや、ジェミちゃんも気にしてて、カメラ映り。あの子、ときどきすごくバカっぽい顔するから」
きいろ「バカっぽいというか、なんか、ちょっと怖いときありません? 悪魔とかなんとか」
ガチャっと玄関の開く音。
キャン「あ、アク帰ってきた。じゃ、ゆっくりしてってね」
と感じのいい笑顔で部屋をでていく。
きいろ「ふー。(大きくため息)ゆっくりしてる場合じゃないでしょ。情報。とにかくもっと手がかりを。人生いつも黄信号。迷わずイクよ、イエローマジック」
と、口角をあげ、笑顔を作り、和室の引き出し、タンス等を調べ始める。
きいろ「あ、Wi-Fiあるか聞けばよかった」
スマホ画面「圏外」の文字。
〇リビングルーム
アク「なかった。どこにもない」
ジェミ「私はあそこにきちんと埋めた」
アク「でもなかった。どこにも。だとしたら誰かが持っていったとしか考えられない」
キャン「誰が? あの石のことを知っているのは私達だけじゃない?」
アク「三年だぞ。今日のために三年も準備して」
壁の星座表、カレンダー、ホロスコープ、時計。
アク「あと8時間だ。百年に一度の瞬間だぞ。ジェミ、本当に知らないのか!」
ジェミ「だから私には分からない!」
アク「それにあの娘はなんなんだ。きいろ? なぜきいろ? なぜ今、今日、このタイミングであの娘はここにいる? これが偶然だと思えるか?」
キャン「あの子のスマホには何も映ってなかったよ。多分本当に何も知らないと思う。それにまだ敵と決まったわけじゃない。もしかしたら味方、いや救世主かもしれない」
ジェミ「黄色は皇帝、王の色。そして今夜は…」
キャン「イエロームーン…」
アク「とにかく今日一日、今夜だけ大人しく眠っていてもらえれば」
ジェミ「あ、睡眠剤あるよ。私、情緒不安定だから。超強力。よく効くよ」
アク「先に風呂にでも入ってもらうか。風呂で寝て風邪でもひいたら可哀想だ。眠るまでは出来るだけあの部屋のなかか、あとは一緒にいるか。とにかく自由に動けないように。こういうのは女同志のほうがいいだろ、キャン」
キャン「あんな可愛い子に色じかけされたら、アクはいちころだもんね」
アク「イエローマジックか…」
ジェミ「それを言うならピンクマジックじゃない?」
キャン「それを言うならハニートラップじゃない?」
アク「いや、イエローマジックだ…」
ジェミ「シッ」
と扉を見る。
きいろ、スマホを見ながら笑顔で入ってくる。
きいろ「あのー、家中歩き回ったんですけど、この家、全部圏外みたいで。Wi-Fiってありますか」
アク・ジェミ「(同時に)んなもんねーよ!!」
一同凍りつく。
キャン「えーっと。夕飯の準備は」
きいろ「あ、私手伝います」
アク・ジェミ「(同時に)大丈夫だから!」
きいろ「(つぶやく)シンクロ?」
■4:00PM
◯キッチン
ジェミが料理している。
赤いスープが鍋でグツグツボコボコ沸騰している。
ジェミ「(料理しながら独り言)スーパームーン、ブルームーン、ブラッドムーン、ピンクムーン、ストロベリームーン、獅子座流星群、双子座流星群、ほうおう座流星群、りゅう座流星群、黒魔術、白魔術、魔石、召喚、魔法陣、生け贄」
魚の頭を包丁で落とす。
スペアリブの骨を包丁で砕く。
鳥の頭をぶつ切りにする。
それらを赤いスープにいれる。
ジェミ「ドラゴンメテオ、スターゲイザー、イエロームーン。イエローマジック? 黄色の魔術師? 仕込み完了」
ニヤッと笑い、料理を終わらせ、リビングへ。
〇リビングルーム
キャン「きいろちゃんはどうして黄色なの?」
アク、ジェミもきいろを凝視する。
きいろ「なんかよくないですかあ。黄色。明るくて、前向きで、元気でません? 目立つし。ピカチュウも黄色。ドラえもんだって元々は黄色だったんですよ」
キャン・アク・ジェミ「???」
きいろ「あ、じゃあ黄色連想ゲームしましょう。これもしかしたら盛り上がるかもしれないから動画撮りますね。生配信したら面白いんだけど、Wi-Fiないんじゃしょうがない」
とカメラをセットし、
きいろ「どーもー、人生いつも黄信号。迷わずイクよ、イエローマジーック!」
アク・キャン・ジェミ「!?」
きいろ「ユーチューバーのきいろです。今日は、『シェアハウスの方々といきなり黄色連想山手線ゲームをしてみた』の巻。じゃあ行きますね。時計回りで、キャンちゃんさんからお願いします」
キャン「え? いきなり? もう始まるの?」
きいろ「黄色と言えば、なーんだ。はい、パン・パン」
パン・パンと手をたたく。
キャン「え、あ、ひまわり?」
きいろ「(ぱーっと顔が明るくなる)パン・パン」
ジェミ「えっ、私、やだもう思いつかない。(パニック)えっ、あ、さっきの、ドラえもん?ドラえもんは青ってか水色でしょうが。何、何、ピカチュウ?」
きいろ「(可愛く)ピッカー。ピカピカピー。パン・パン」
ジェミ「いいんだ」
アク「ヒカリ」
きいろ「(目を細める)パン・パン」
きいろ「ヒカリと言えば大将黄猿」
きいろ「(田中邦衛の真似?)ピカピカの実。ボルサリーノ。パン・パン」
キャン「レモン」
きいろ「ウェッ。パン・パン」
ジェミ「黄猿? えっ、何、イエローモンキー?」
きいろ「♪乗客に日本人は」
ジェミ・アク「♪いませんでした いませんでした」
パン・パン
アク「太陽」
きいろ「(最大限明るい顔になる)」
アク「(つぶやき)太陽のマネ ?」
パン・パン
きいろ「イエローサブマリン」
ジェミ「あ、んがついた」
アク「しりとりじゃない」
ジェミ「あ、いいのか、レモンも、ん、か、ウェッ?」
きいろ「♪ターラーラーラッタ」
キャン「♪イエローサブマリン」
ジェミ「♪イエローサブマリン」
アク「♪イエローサブマリン」
ジェミ「やだ、何で私歌ってるの? ずーとるび?」
パン・パン
キャン「幸せの黄色いハンカチ」
きいろ「(うんうんとうなずきながら泣き笑いのような顔になる)」
キャン「最後、あれ泣くよね。ハンカチがバーっと」
アク・ジェミ「見たの?」
キャン「見てない」
パン・パン
ジェミ「あ、ピカチュウ」
アク「さっき言った」
きいろ「(可愛く)ピッカー。ピカピカピー。パン・パン」
ジェミ「いいんだ」
キャン「かわいい!」
パン・パン
アク「満月」
キャン、ジェミ、ハッとアクを見つめる。
きいろ「(上品な顔になる)」
アク「(つぶやき)月のマネ? 」
外から「ワオーン、ワオーン」と犬の遠吠えが聞こえる。
きいろ「犬? 狼?」
ジェミ「あ、私そろそろ行かなくちゃ」
と立ち上がる。
ジェミ「どうぞ続けて。はい、パンパン」
きいろ「イエローマジック」
アク「!!!」
キャン「!!!」
ジェミ「!!!」
■5:00PM
〇浴室
きいろの入浴シーン(サービスショット)
湯舟につかるきいろ。
きいろ「♪チャーチャーチャーーー チャララ チャッチャラチャッチャチャー」
イエローマジックオーケストラ「ライディーン」を歌う。やや暗いトーン。
風呂場全体を見渡す。
子供用のシャンプーハット。子供用のシャンプー。
天井。壁。逃げ道はあるか?
〇リビングルーム
キャン「ずいぶん楽しそうに歌ってたね?」
アク「なぜかペースにはめられた」
キャン「(笑う)アクが歌うのなんて初めてみたよ」
◯ほんの少し前の回想
きいろ、アク、キャン、楽しそうにYMO
(イエローマジックオーケストラ)の「ライディーン」を歌う。
「♪チャーチャーチャーーー チャララ チャッチャララッチャッチャー」
「♪チャーチャーチャーーー チャララ チャッチャララッチャッチャーーー」
◯リビングルーム
アク「彼女はまだ自分の力に気づいていない。天然か」
キャン「いかにも天然っぽい。スペシャルギフトね」
アク「今夜、覚醒するかもしれない。いっそ、キャンの代わりに生け贄になってもらうか」
〇浴室
湯舟から、天井を凝視するきいろ。
キャン「(ドアの外から)きいろちゃん。私も入っていい?」
きいろ「え、いや、私、体は売らないって」
オールヌードのキャン、浴室に入ってくる。狭い浴槽に入る。
きいろ「いや、さすがにせまくないですか」
狭い浴槽につかる二人。(視聴者夢のスーパーサービスショット)
キャン「(小声で)二人で話せるのここだけだから。この家はいたるところ監視されてる」
きいろ「(天井の換気扇を見ながら)ここは大丈夫何ですか? 盗撮とか」
キャン「アクはそういうところ、妙に律儀だから」
きいろ「アクさん…」
キャン「きいろちゃんはどうしてユーチューバーになったの?」
きいろ「バイト首になって崖っぷちって。あれ、これさっきも話しましたよね」
キャン「それ、嘘でしょ」
きいろ「いや、本当ですよ」
キャン「ユーチューバーって言ったって、そんなに簡単にはお金稼げないでしょ。いくら可愛くても」
きいろ「収入まだゼロです。でもこれからです」
キャン「黄色は、太陽、月、光の色。あなたがここに来たのは、本当に偶然?」
きいろ「偶然ですよー。本当に。ただの通りすがりのユーチューバーです。あと黄色は金運アップ、お金の色です」
キャン「えっ、あっ、そうなの? でもお金だけじゃないでしょ?」
きいろ「(少し考えて)誰にも言わないって約束できます?」
キャン「もちろん」
きいろ「恥ずかしいから人には言わないんですけど、本当は、少しでも、ささやかでも、世界が明るくなればいいなって。みんなを笑顔にしたい。世界中の人を。ほんの一瞬でも、私が魔法をかけてあげたい。みんなが笑顔になれる魔法を」
キャン「(少し考えて)きいろちゃん、イエローマジックって知ってる?」
きいろ「??? 知ってるって言うか、それ、私が考えました」
キャン、きいろをジーッと見つめる。キャンの目から涙がこぼれる。
きいろ「えっ? どうしました? 私何か傷つけるような」
キャン、突然きいろを抱き締め、耳元で言う。
キャン「きいろちゃん、お願い、助けて」
第1話エンディングテーマ流れる
YMO (イエローマジックオーケストラ)
「ライディーン(雷電)」
「♪チャーチャーチャーーー チャララ チャッチャララッチャッチャー」
to be continue...
【予告】
第2話 最後の晩餐
6:00PM-9:00PM
第3話 スターゲイザー 謎解き脱出ゲーム
9:00PM-11:00PM
第4話 ドラゴンナイトオーケストラ
11:00PM-8:00AM