「キャリアキーノート」を通じた自己開示でより安心して働ける環境をーーenechainの場合
都心からアクセスしやすく、自然豊かなロケーションでオフサイトを実施できる「Island and office 八丈島」。スタートアップを中心にさまざまな企業が八丈島に訪れ、それぞれ独自性のある時間を過ごしています。今回その体験を語ってくれたのは、株式会社enechainの須藤さん、西村さん、土谷さんです。コミュニケーションを通じて得られたものについて、3名の対談形式でお届けします。
須藤 優介(CTO)
新卒でエンジニアとしてグリーに入社し、Webゲームや動画配信サービスの開発 / マネジメントを経験。その後、BCG Digital Venturesのエンジニア、ベンチャー企業のCTOとして開発 / 事業 / 組織に携わる。2021年10月 enechainにジョイン。栃木県出身。早稲田大学情報理工学科 (修士) 卒業。
西村 洋一(VPoE)
グリー株式会社、株式会社VASILY、株式会社bitFlyerにて、モバイルサービス開発に従事。暗号資産取引アプリ『bitFlyer』の開発・運用や、マネジャーとしての各種マネジメント業務を経験した後、2021年9月enechainに入社。エネルギートレーディングプラットフォーム『eSquare』のモバイルアプリの開発マネジャーとして従事し、採用担当業務も担う。福岡県出身、埼玉県育ち、立命館大学理工学部卒。
土谷 光(eSquareデスク エンジニアリングマネジャー)
ものづくりが好きで10代の頃にプログラミングを始める。SIerからキャリアをスタート、その後Web業界に転身して、読書管理サービスのブクログ、ハンドメイドマーケットのminne、フレンドファンディングのpolca、ビザ取得をサポートするone visaの開発に携わる。技術面では現在フロントエンドに専念。
経営陣×開発コアメンバー初の合宿 in 八丈島
ーー今回Island and office八丈島を利用した背景や概要を教えてください。
須藤:今回オフサイトを実施した主な目的は、長期ビジョンや事業のマイルストーンについてのディスカッションです。参加メンバーは経営陣と開発コアメンバーの計8名でした。旅程としては1泊2日で、初日はディスカッションとBBQ、翌日はジョギングや山登りなどのアクティビティも取り入れまし
た。
ーーちなみにenechainでは、これまでもオフサイトはやっていましたか?
西村:エンジニア合宿はこれが初めてです。全社的な取り組みとしては、年に1度「スリル合宿」というのが開催されますね。参加メンバーは当日まで行き先が伝えられず、何をするかわからないスリルを味わうという企画です。ちなみに今年は沖縄で運動会をやりまして、総勢50名が参加しました。
ーーそれは楽しそうですね!「スリル合宿」とは規模の異なるIsland and office八丈島ですが、ロケーションの印象はいかがでしたか。
土谷:施設や環境、すべて最高でした。屋上で夜空を眺めた時間が印象に残っています。
西村:八丈島から自然の強い力を感じられて、リフレッシュできました。私は体調の都合でメンバーと一部別行動していたのですが、島の景観を見ながらドライブできたのがとても良い時間でしたね。
須藤:東京から距離的には近いけれど、非日常というバランスがいいですよね。気持ちを切り替えるのには本当に良いロケーションだと感じました。
ーー2日間で印象に残っていることはありますか。
西村:あみだくじで部屋割りを決めたら、私がまさかの加藤さん(enechain取締役副社長)と相部屋になりまして……(笑)。あまり会話したことがなかったので緊張しましたが、この2日間同じ時間を過ごしたことで、ずいぶん距離が縮まった気がします。
須藤:確かに仕事中の加藤さんはなんというか、近寄りがたいオーラがあったんですよね……。でも今回、学生時代にボート部で頑張っていた話など、普段の仕事からは想像できないエピソードをたくさん聞くことができて、印象ががらりと変わりました。
参加メンバーのお茶目だったり意外だったりする一面をいっぱい見られたのが、今回のオフサイトで一番良かったことです。オフサイト実施後は、これまで以上に気軽に話せるようになって、飲み会なども以前より誘いやすくなりました。
キャリアキーノートで伝わる本当の姿、意外な素顔
ーーオフサイトの取り組みのひとつとして実施された、「キャリアキーノート」について教えてください。
土谷:もともと「キャリアキーノート」実施について発案したのは私です。「キャリアキーノート」とは、これまで歩んできたキャリアと個々人の内面の変遷について発表する取り組みです。自分の人格を形成するに至った出来事や、考え方が変わった瞬間など、社会人になる前の幼少期までさかのぼって紹介する人もいます。
「キャリアキーノート」は、もともと私が以前勤めていた会社が取り入れていた催しです。チーム立ち上げのときや、コミュニケーションのきっかけとして行われており、参加した私自身がとても良い機会だと感じたので、今回のオフサイトでも実施してみよう、と提案しました。
今回の場合は、一人あたり15~30分と、あまり時間を気にせず自由に発表していました。特に後半は夜ご飯を食べながらゆるゆるとやっていたこともあり、かなり盛り上がっていました。
ーー「キャリアキーノート」で印象的だったエピソードはありますか。
西村:それこそ土谷さんの話が印象的でしたよ。波乱万丈という感じで。
土谷:え、そうですかね(笑)。でも確かに、今回は割とあけすけにいろいろ話したかもしれません。人生のターニングポイントと自身が衝撃を受けた映画を交えながら、小学生時代に経験した学級崩壊の話や、エンジニアを目指したきっかけなどを振り返りました。
ーー自分をさらけ出すことへのプレッシャーはありませんでしたか?
土谷:私はむしろ、最初にありのままの自分を出してしまったほうが楽なタイプです。変に期待値を上げてもしょうがないな……と。ですから、こういった機会を経たほうが、安心して働けます。
西村:私も自己開示のプレッシャーはあまりなかったかもしれません。むしろこんなに自分自身のことを話す機会はなかなかありませんから、全体として楽しめた気がします。須藤さんも面白い話してましたね。
須藤:学生時代に死にかけたから今はもうボーナスステージだと思ってる……っていう話をしましたね。
自己開示できた一要因としては、環境もあると思います。みんなスライドを準備していたのですが、圧倒的にスライドよりも多い情報量を語っていて(笑)。お酒を飲みながら、ああいった空間で集まって、お互い「知ってほしい」と思いながら語ったのが良かったかもしれません。
ーー創業ストーリーの共有も行われたそうですね。
須藤:はい、野澤さん(enechain代表取締役)から創業経緯や「なぜ電力に取り組むか」といった話を聞いたのですが、改めてその話を聞けたことがとても良かったです。
西村:野澤さんのお話は、個人のストーリーが会社の成り立ちに直結していて。学生時代から今までの歩み、そこで得た想いや下した決断……それらが今、私たちが取り組んでいる事業につながっているんだと痛感しました。創業者である野澤さんも自分の全てをさらけ出してくれたことが印象に残っています。
オフサイトを企業文化の柱に
ーー「キャリアキーノート」を経て、チームにはどのような変化がありましたか。
土谷:「ズバリこれ」というのは難しいのですが、普段の会話の中で「あの考え方や経験が背景にあるから、今この発言をしたんだな」と想像できるようになったと思います。それが話しやすさの土壌を作って、安心感のもとコミュニケーションを取れるようになったことが大きな変化ですね。
ーー今回のオフサイトを改めて振り返っての感想や、今後の実施予定などを聞きたいです。
須藤:みんなで集まってオフサイトをやるなら、このくらい非日常を感じられる場所でやったほうがいいな、と感じました。普段の業務から気持ちを切り替えられることが大切ですね。
あと、事業の話をディスカッションできたのももちろん良かったのですが、それ以外のコミュニケーションから得られた実りが大きかったです。あまり効率化に傾倒しすぎず、情熱的なコミュニケーションに時間をつかうことがオフサイト成功のポイントだな、と振り返って思います。
西村:じつは今回の体験が良かったので、今回とは別のチームですでにオフサイトを実施しました。今回と同様、前半はチームや活動形態についてのディスカッションをして、後半はキャリアキーノートをやって、という流れです。こちらでもキャリアキーノートは盛り上がっていました。
また、この場には入社前のメンバーも参加していて、いわばオンボーディングの意味合いも兼ねて実施しました。入社前の時点で、これから仲間になる上で知っておきたい価値観や今後の目標をしっかり聞けたので、それも良い時間だったと感じています。
コロナ禍でリモートワークが増える中、企業への帰属意識の希薄化が課題になっていると感じます。ミッションを達成するためにメンバー全員が同じ方向を見て、モチベーション高く仕事を続けていくためには、今回実施したオフサイトのような場が重要な役割を果たしてくると思います。また、enchainは現在フルリモート体制で、全国各地で働いているメンバーがいます。離れて住む仲間同士が集まる機会づくりといった意味でも、オフサイトは貴重です。
そういった思いから、今後も小規模なチームに分けながら、継続的にオフサイトを実施していきたいです。また、キャリアキーノートの実施も含め、リモートワークでも定期的に互いの価値観を知り、コミュニケーションを深められる文化を会社として築いていきたいと思います。