開発合宿で“プチハッカソン”に挑戦したシンプルフォームのエンジニアチームに、成功の秘訣を聞いてみた
企業のエンジニアチームの親睦を深めるためには、どのような取り組みが最適なのでしょうか。その一つのアンサーとして、開発合宿で“プチハッカソン”を企画したシンプルフォームのエンジニアチームは、Island and office 八丈島を利用し、貴重な時間を共有できたと話します。実際どのような取り組みが行われたのか、そしてどんな効果が得られたのか聞きました。
サマリー
参加団体:シンプルフォーム株式会社 開発チーム+調査隊 計9名
実施目的:開発チームの親睦を深めること(手段=プチハッカソン)
実施日程:1泊2日
スケジュール
シンプルフォームがIsland and officeを利用したきっかけ
シンプルフォームは法人調査プロセスを自動化するクラウド型ソフトウェア「SimpleCheck(シンプルチェック)」を開発・提供する企業です。基本的に東京在住の社員は出社+一部リモート、地方在住の社員はリモートワークという形で働いており、リモートワークの社員もおよそ2ヶ月に1回は会社負担にて本社に出社しています。
リモートワークだとなかなか細かな感情部分などを読み取れないこともあり、やはり直接会ったほうがやりやすいと感じることは多いです。ことエンジニアチームは業務委託のメンバーを含めリモートワークで働いているメンバーが多く、直接会う機会も少ないので、何かしら親睦を深める機会が必要だと感じていました。
そういった課題意識に加え、人事チームからの提案があったことも合宿開催のきっかけのひとつです。Island and office八丈島のような魅力的な場所で開発合宿を行うことは、採用活動において強い訴求力を持つという狙いがあったようです。
ですから、この開発合宿自体がシンプルフォームにとって初の試みとなります。親睦を深めることを目的としつつ、何か開発チームらしいことをやりたいと、企画を試行錯誤しました。はじめにグループワークというアイデアが生まれ、そこから「簡易的なハッカソンをやろう」と話がふくらんでいきました。
プチハッカソンのテーマの決め方
テーマを決めるときに意識したことは、日頃の業務と近しすぎないテーマを選ぶことです。業務に直結する内容だと日々の仕事と地続きになってしまいますから、普段は取り組まない課題にあえて取り組もうと考えました。
今回私たちが設定したテーマは、「調査隊のQOL向上」です。調査隊とは、私たちが提供しているソリューションに関わるデータの収集・整備・管理などを行っているチームの名称です。
調査隊の業務を細かに見ていけば業務効率化のポイントはいくらでもあるのですが、今回はあえて業務効率化よりも抽象度の高い「QOL向上」をテーマとしました。そうすることで、柔軟なアイデアを受け入れられる余白を作り、プチハッカソンでしかできないようなチャレンジを促そうと考えました。
プチハッカソンの進め方
当日は9名の参加者を3名ずつ3チームに分けるところからスタート。プチハッカソンが始まる前に調査隊に所属する2名から現状の課題を発表するLTの時間を設け、困りごとをヒアリングしました。
その内容を受け、各チームでどのような解決策があるか検討しました。アイデア出しを初日の夜に行ったのですが、この時間はみんなでお酒を飲み交しながら自由に話す形で進めることに。親睦を深めることが主目的なので、開発に向けた共通の話題を持ちつつ、ゆるやかな交流の時間を設けたようなイメージです。
2日目の朝から実装をはじめ、最終的に各チームが開発内容について発表。それぞれ下記の5つの項目を基準に他チームに対して投票しあい、最終的な合計ポイントを競い合う形としました。
【評価項目】
調査隊の QOL を本当に上げられそうなのはどのチームだったか
プロダクトの完成度が高かったのはどのチームだったか
アイデアの独創性が高かったのはどのチームだったか
技術的な面白さがあったのはどのチームだったか
プレゼンが上手かったのはどのチームだったか
また、今回は実験的に調査隊のメンバーにもできる範囲で開発に取り組んでもらいました。普段開発していないメンバーでも楽しんでもらえるよう配慮したことは、結果として良かったと感じています。
チームの発表内容は、テーマ設定時の期待通り、それぞれ個性にあふれたものとなりました。QOL向上をテーマにしていたことで、調査隊のメンタルケアに焦点をあてたアイデアを出してきたチームもあります。日頃の業務と離れた場所で行うプチハッカソンだからこそのアイデアが生まれたことを、嬉しく思います。
プチハッカソンを通じて親睦を深めた効果
普段なかなかコミュニケーションが取れていなかった調査隊のメンバーと深く対話できたことで、さまざまな気付きがありました。開発メンバーからしてみれば、意外な悩みでつまづいていると感じるところもあり、エンジニアの知識を活かせば解決できることもある、と感じました。
お互いの存在は知っていても、やはり扱う業務領域が遠いと、業務内容について深くまでは理解できていません。その距離を今回の開発合宿で互いに縮めることができたことは、大きな収穫でした。
開発チームだけで合宿する方法もありましたが、こうして他部署のメンバーも含めて全員が楽しんで参加できる企画を立てると、チーム内の親睦だけでなく、他部署のメンバーとの相互理解という副次的な効果も生まれるのだと感じました。
合宿実施による採用面での効果
また、合宿の背景にある目的の一つであった採用面でも、意外な効果がありました。今回の参加メンバーの中には業務委託のメンバーもいたのですが、この合宿を終えたあと、入社したいという意向を示してくれたんです。
必ずしもそういう意図があったわけではありませんが、おそらくプチハッカソンで共にひとつのものを作り上げた時間が、入社のきっかけをもたらしたのでしょう。今までフレンドリーに話すことの少なかった業務委託のメンバーと、同じ空間で1日中開発に向き合った時間は、相互理解し、打ち解けるための十分なきっかけとなりました。
シンプルフォームの開発チームは、いわゆる“エンジニア”っぽさの少ないチームだと思います。淡々と目の前の業務に向き合うというよりは、積極的にコミュニケーションを取るメンバーが多い印象をこの合宿で改めて感じました。「もっとこうしたほうがいいね」と言葉を交わしながら開発に取り組んだ時間は、とても充実していました。
プチハッカソンを経て得られた変化
日頃からモチベーション高く業務に取り組んではいるのですが、このプチハッカソンを経てメンバー同士の理解を深められましたし、会社に対するやりがいや想いのようなものが一層強まったと感じています。もちろん普段の業務でもチームワークはあるのですが、同じ空間でひとつのものを作った経験はかけがえのないものなのだと、改めて実感しました。
今後の合宿実施予定
今回の取り組みに対しては、参加メンバーからも良い評価をもらえました。今後も年に1回程度同じような取り組みを続けていきたいと考えています。
また次回もプチハッカソンを行うならば、もう少し開発時間を取れるようなスケジュールを組めるといいですね。八丈島というロケーションを楽しみつつ、開発もしつつ……となると最低でも2泊はしたほうが良いなと感じました。とは言え、親睦という目的を達成する点においては十分1泊2日でも素晴らしい時間を共有できました。今回、プチハッカソンという企画に挑戦して良かったと思います。