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ムハッラム6夜目 カースィム・ブン・ハサンらの追悼
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名によって
おぉ、アッラーよ!祝福くださいムハンマド様を
そして彼の御一門を
そして彼らの救済を近づけてください
イマーム・フサイン様にサラーム
アリー・ブン・フサイン様にサラーム
イマーム・フサイン様の子供たちにサラーム
イマーム・フサイン様の支援者たちにサラーム
ムハッラム6夜目
カースィム・ブン・ハサン
彼を追悼します。
それは、アーシューラー前夜でした。
イマーム・フサイン様はここまでついて来てくれた全員を呼ばれました。そして、次の旨仰いました:
今、あなた方が私にしてくれた忠誠の誓いを無かったことにします。
あなた方は自由の身です。
この夜の暗闇は良い機会です、
さぁ、行きなさい!
敵たちはこの私一人に用があるのです
・・・
ですが、
誰一人としてそこを立ち去りませんでした。
そして、
全員がイマーム・フサイン様を支援することを
改めて誓ったのでした。
すると、
イマーム・フサイン様は、
明日戦場に赴く全員が殉教することを告げられました。
カースィム・ブン・ハサン
彼は2代目イマーム・ハサン様の御子息で、まだイスラームで言う未成年でした(別な伝承では、16歳と記録されています)。
まだ年端も行かぬカースィムは自身の叔父に訊ねました:
ねぇ、おじちゃん
ぼくも明日殉教するの?
イマーム・フサイン様は問い返します:
おまえにとって
死とはどのようなものかね?
すると、カースィムは:
蜂蜜よりも甘いよ!
と答えたのでした・・・
イマーム・フサイン様は仰いました:
あぁ、その通りだとも
おまえも明日殉教するのだ
夜が明けたアーシューラー当日、
アリー・アクバル様は既に殉教を遂げられていました。
カースィム・ブン・ハサンは、愛する人々が次々に殉教を遂げていくイマーム・フサイン様を助けるため、自身が戦場に出撃する許可を求めます。
しかし、
イマーム・フサイン様は、彼にその許可を出しません。
何故なら、
彼は年端も行かぬ若者で、とても戦が出来るような年齢ではないからです。
ですから
彼に出撃の許可を出さなかったのです。
其れにも拘らず、
カースィムは食い下がります。
イマーム・フサイン様は彼の首に腕を回して抱きしめます。
二人は泣き崩れます・・・
尚も、
イマーム・フサイン様は出撃の許可を自制なされますが
それでもカースィムは食い下がります。
遂には、
イマーム様が出撃許可を与えるために
カースィムは彼の御手、おみ足に口づけするのでした・・・
涙が頬を伝います・・・
叔父と別れ
満月のように丸い顔をした彼は戦場に駆け出て行きます。
我こそカースィム!
アリーからの出自である
唯一神の家
カアバ神殿に誓って!
我々は預言者様により近いのです!
シムル・ブン・ズィ・ル=ジャウシャン
شمر بن ذی الجوشن
或いは
ウバイドゥッラー・ブン・ズィヤード عبید الله ابن زیادからよりも!
彼は勇敢に戦いを繰り広げました。
そして遂に、
敵の一撃が彼の頭上に振り落とされると、
頭が割れ、彼は崩れ落ちました。
嗚呼!
おじちゃーーーん!
イマーム・フサイン様が彼の絶叫を耳にすると、
鷹が獲物へ急降下するが如く、
彼のもとへとイマーム・フサイン様は急ぎます。
獰猛な獅子が襲い掛かるが如く、
イマーム・フサイン様がカースィムを襲った人物に剣を振るうと、
その人物が瞬時に盾代わりにした腕が肘からスパッと切り落とされます。
その人物の絶叫が敵軍全員の耳に届きました。
クーファ総督軍が彼の救出のため出動しましたが、
その人物は大軍の下敷きになり踏み潰されてしまいました。
砂と土埃が舞う中、
虫の息なカースィムの頭上にイマーム・フサイン様が立たれました・・・
そして、
仰ったのです:
呪われよ
カースィムを殺した者たち!
最後の審判の日に
おまえの父と祖父は
彼らに血の復讐を要求するのです
唯一神に誓って
おまえの叔父には辛いことなのです
おまえが唯一神に頼んでも
唯一神はそれを聞き届けないことが
もしくは、
もし、唯一神が聞き届けたとしても
無益であろうことが
唯一神に誓って
今日という日は
おまえの叔父の敵は大勢で
味方は極僅かなのです!
それから、カースィムを胸に抱きかかえて
他のハーシム家の殉教者の傍に、
イマーム・フサイン様の御子息アリー・アクバル様の傍らに
横たわらせたのでした。
典拠
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قاسم بن حسن
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