ミルミルと肝油ドロップとミキプルーンと
スーパーの乳製品コーナーで、見覚えのあるパッケージにふと目が止まった。「ミルミル」だった。
白地に水玉模様のちんまりとしたその姿を見て、一気に幼い日の記憶が甦った。
私は小学生の頃、家庭の事情により祖父母の家で暮らしていた。
幼い子の世話など大変だっただろうに、祖父母はとても大切に育ててくれて、感謝してもしきれない。
祖母は栄養面にも気を遣ってくれて、肝油ドロップやミキプルーンなんかもよく食べさせてくれた。
美味しくて隠れてたくさん食べて、叱られたりもしたなあ。懐かしい。
そして、宅配で毎日のようにヤクルト製品を飲ませてくれていた。
中でも私が楽しみにしていたのが、ミルミルだった。パッケージもかわいくて好きだった。
そんなことを思い出しながら、棚に手を伸ばし、買い物カゴにひとつ、入れた。
家に帰って、少しドキドキしながら数十年ぶりに飲んでみた。
スッキリとしてやさしい、ミルクのようなヨーグルトのような味わい。
ああ、こんな味だったな。
喜んで飲む私を、おばあちゃん、嬉しそうに見ていたっけな。
祖母のやさしい微笑みが瞼の裏に浮かび、なんだかジワリと涙が出てしまった。
生きてるうちに、もっとたくさんありがとうを言えばよかったな。
おばあちゃん、ありがとう。