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ニューヨーク駐在記録「白人がいない。そして、スパッツ」

私たちはJFK空港からタクシーでマンハッタンの自宅に向かった。実は9月に夫が先に赴任していたので、すでに家はあったのだ。自宅は大通りに面したアパートメントの一室だった。日本でいうところのマンションである。部屋の中に入ると、つい最近引っ越してきたのか!?と言わんばかりに片付いていなくて、私はどっと疲れを感じた。そして数日間は娘のベッドを組み立てたり、リビングに山積みになった段ボールを片付けたりしながら、家に引きこもっていた。


そんなある日、夫が「Bed Bath & Beyondに行こう」と言い出した。聞けば、生活用品のお店で、バスで行かれるらしい。それまで徒歩でも全く街に繰り出したことのなかった私にとっては大冒険である。NYの地図が全く頭に入っていない私は、子供達を連れて、夫に言われるがままバス停に向かった。しかし、待てど暮らせどバスは来ない。私は緊張でいら立ちマックス。そして、その時、夫も初めてバスに乗ることを知る。なんだ、お互い初心者か…。


この時、街を少し歩いていて気づいたことがある。
白人が思ったより少ないことと、スパッツを履いている女性の多いこと。
私はそれまでハワイとグアムには行ったことがあったけど、アメリカ本土は初めてだった。さらに「アメリカ=金髪、白人、青い目」と勝手に思い込んでいたのだ。
しかし、マリリンモンローのような金髪はいないし、そもそも白人がそんなにいない。体感的には半数近くが有色人種だ。
そして、人種に関わらず、女性は黒いスパッツを履いている人が多い。スパッツに光沢はないけれど、ちょうど江頭2:50が着用しているように、とにかく足にフィット。その上にスカートをはくわけでもなく、中の下着の線がくっきりしている人もいる。
これは後からわかったのだが、黒いスパッツの正体はヨガパンツだったのだ。当時、日本ではヨガパンツといえば、クロップドパンツやサルエルパンツ、ガウチョパンツなどふわっとしたパンツが多かったのだが、アメリカでは全然違ったらしい。
今となってはどれも当たり前に受け入れていることも、その時はとても珍しいものを見るように眺めていたのだった。

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石森のぶ
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