ニューヨーク駐在記録「シッターを雇ってもいい」
NYに来て数週間をすぎたある日のこと。子供達を連れて近所の公園に行ったら、二人の日本人ママが立ち話をしているではないか。それまで公園に行っても、スーパーに行っても日本人を見かけることがなかった私はとても驚いた。でも、知らない人に自分から話しかける勇気はなく、遠くから二人を眺めていた。すると、有難いことにむこうから話しかけてきてくれた。その場ではちょっと世間話をした程度だったが、そのあとスーパーに行くと、2人のうちの1人にばったり出会った。よくよく話を聞くと、私と同じアパートに住んでいることが発覚。そして「これも何かの縁だから」と連絡先を交換し、後日ご自宅に招いてもらった。
彼女には3歳のお嬢さんがいて、午前中は近所のインターナショナルスクールに通っていた。私たちはお嬢さんの帰宅後(私も息子も他人の家に行くことなどめったにないから)若干緊張しながら、彼女が頼んでくれたデリバリーの日本食を食べた。彼女は私にNY生活の様々なことを教えてくれて、それまで他の日本人と交流がなかった自分はとても勉強になった。
中でも彼女が週に一度、ベビーシッターを雇っている話を聞いたことはとても新鮮だった。
私は東京で働いていた時も、ベビーシッターを雇ったことはなかった。近くに親もいないし、フルタイムで働いていて、保育園のお迎えが19時になることもあって、土日はたまった家事でぐったりだったけど、それでもベビーシッターは贅沢に思えて、その選択肢は頭になかった。
それが、彼女は専業主婦で、子供は一人しかいないのに、ベビーシッターを頼んでいる!よほど会社から高いお給料をもらっているのか!心の中で色々なことを考えてしまった私は訳を聞いてみた。すると「海外生活で近くに頼れる人もいない。自分に何かあったときに子供をお願いできる人が必要」ということだった。
それを聞いて、目からうろこだった。でも、たしかにそうだ。こんな異国の地で親戚も知り合いもいない中、万が一、自分が倒れたら子供達はどうすればいいのだ。ましてや、下の子は産まれて半年も経っていない。夫が仕事をしながら子供達二人の世話をするのは難しい。
彼女の話を聞いて、早速ベビーシッター探しに奔走したのは言うまでもない。