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ニューヨーク駐在記録「HSC~ひといちばい敏感な子」

当時、私はオンライン講座「妊婦と子供の睡眠コンサルタント」を受講していた。息子が幼少の頃に寝かしつけが全くうまくいかず、寝不足と仕事の両立で毎日ぐったりだったため、娘は息子の二の舞にはさせたくないという思いと、せっかく専業主婦になったのだからその分の時間を勉強にあてようという理由だった。
息子は赤ちゃんの頃、寝かしつけに数時間かかったのに、30分しか寝なかったり、ちょっとした物音ひとつでも途端に起きてしまったりするような子だった。0歳から保育園に通っていたが、クラスで最もベテランの先生に「(うちの息子が)クラスで一番大変だったのよ。布団に寝かせたり、ベビーカーに乗せたり、抱っこしたり色々なことして寝かしつけたのよ」と後になって言われた。それを聞いた私は「保育のプロですらこの子を寝かしつけるのが大変なのだから、新米の私がうまくいくはずなかったんだ…。」と妙に納得したものだった。
睡眠コンサルタントの講座では、睡眠以外に、子供の発育や病気、あやし方なども学んだ。その中でとても興味深かったのが「子供の気質」であった。子供には生まれ持った気質があり、それが睡眠にも影響するというのだ。たしかに、息子と娘は全くタイプが違った。睡眠に関していえば、娘はいつでもどこでも眠れる子だった。ベビーカーでも、車の中でも、ベビーベッドでも、抱っこでも眠れた。
私は息子の気質についてもっと知りたいと思い「The Highly Sensitive Childひといちばい敏感な子 エレン・N・アーレン 著/明橋大二 訳」という本を手に取った。
HSCとは、エレン・N・アーレン博士が提唱した概念であり、5人に1人存在すると言われている。
HSCには以下の6つの特徴がある。

(1)細かいことに気づく
(2)刺激を受けやすい
(3)強い感情に揺さぶられる
(4)他人の気持ちにとても敏感
(5)石橋をたたきすぎる
(6)良くも悪くも注目されやすい

これはまさに息子そのものであった。
前述のとおり、息子は寝かしつけに苦労していたが、それ以外にも色々あった。
例えば、肝心な時にいつも発熱した。子供なら風邪をひいたり、熱をだしたりするのは当たり前かもしれないが、息子はいつもタイミングが悪い。私が育児休暇から仕事復帰する初日、保育園のお遊戯会当日、運動会の前夜、旅行前日が数回…。運動会なんて、本人はずっと楽しみにしていて毎日家でもせっせとダンスの練習をしていたのだ。しかし、夜中に急に高熱を出し、運動会に参加するどころか、脱水症状まで起こし、救急外来で点滴をして帰ってくる有様だった。
また、ちょっと疲れたり、刺激が強いことが起こったりすると、周期性嘔吐症の症状がでた。突然、前触れもなく急に嘔吐して、それを半日から1日近く繰り返すのだ。小さい頃は嘔吐するたびに布団や服を汚してしまい、看病をするのが本当に大変だった。
発症の原因は不明だが、今考えると、息子はまわりの空気や雰囲気を敏感に察して、過度に疲れてしまったり、ストレスを抱えてしまったりしていたのではないか思われる。年齢を重ねるとともに、これらの症状は少しずつ減ってきたが、わりと最近まで続いた。
また、息子はキャラクターとしてのアンパンマンは大好きなのに、アニメを一切見ようとしなかった。(ついでに言うと、ドラえもんのアニメも嫌いだった)アンパンマンのパジャマを自慢したくて、パジャマを着たまま保育園に行ってしまうくらい好きなのに、アニメは見たがらない。厳密に言うと、オープニングとアニメの冒頭部分だけ見て、テレビから離れてしまうのだ。私はその時は本当に不思議だったけど、今ならわかる。息子はこの後に待ち受ける事件(大概、ばいきんまんが悪さをする)を恐れていたのだ。(ちなみに、8歳になった今、ようやくアンパンマンを見られるようになったが、ドラえもんは相変わらず苦手である。本人曰く「乱暴なジャイアンが好きじゃない」とのこと。娘が怒ったジャイアンを見てゲラゲラ大爆笑する傍らで、下を向いている息子なのであった。)
それ以外にも、この著書に当てはまることが多数あり、自分が抱えていたモヤモヤや疑問がクリアになった。私にとって息子は「育てにくい子」だったが、この本を読んで息子がHSCの気質を持っていることを知り、より深く息子を理解することができるようになったのだった。

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石森のぶ
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