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ニューヨーク駐在記録「タミフル」

病院から帰宅したときには、もう18時を過ぎていた。私は息子にタミフルを飲ませて寝かせた。すると翌朝、息子の首に少し蕁麻疹ができていた。でも、インフルエンザのせいかと思い、それほど気にすることなく再び朝の分のタミフルを与えた。
しかし、これが大きな間違いだった。
少しすると、蕁麻疹が顔にも広がってしまったのだ。私は慌てて昨日受診した日系病院に電話をした。電話にでた受付の人に蕁麻疹のことを話すと「土曜日で先生は不在。酷いようならERに行って」と言われてしまった。ER!? ERに行かなきゃいけないくらい悪いの?でも、NYのERは数時間から半日待たされると日本領事館のホームページに書いてある。どうしよう。私は軽くパニックだった。そこで、私はある人を思い出した。ある人とは、空手のアフタースクールでも一緒のママTさんだった。彼女とは別のママ友からの紹介で知り合った。数回会った程度だったが、そのママ友から彼女の旦那さんが医者であることを聞いていた。
私はそれまで彼女と深い話をしたことはなかったけど、藁をもすがる思いで、彼女に電話をかけた。事情を聞いた彼女はすぐに医者である旦那さんに電話を替わってくれた。
すると旦那さんは、突然休みの日に電話をかけた、見ず知らずの私のために丁寧に、適切なアドバイスをしてくれた。中でも特にありがたかったのは「自分(私の立場)だったら○○する」というように、自分自身に置き換えて話をしてくれたことだった。私が患者だったら是非この先生にかかりたい!と思えるほど、人柄などが伝わってくるような電話だった。
私はすぐに息子のタミフル服用を止めさせた。そして、数日後には蕁麻疹はだいぶ薄くなり、熱も下がった。

その後、Tさんとは駐在生活の悩みを分かち合う貴重な友人となったわけだが、残念ながら一足先に本帰国してしまった。でも、今でも連絡を取り合ったり、日本からプレゼントを送ってきてくれたり、彼女はいつでもどこでも優しい。
もし彼女たちに困ったことがあれば私は真っ先に駆け付けるだろう。それくらい、いつもTさん一家に感謝している。

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石森のぶ
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