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ニューヨーク駐在記録「娘のスピーチセラピー」

ちょうどこの頃、数か月後に2歳の誕生日を控えた娘は、週に数回のスピーチセラピーに通っていた。定期検診で言葉の遅れを指摘され、スピーチセラピーによる療育を勧められたからだ。
娘の言葉の遅れの原因は色々あったと思う。まず、息子が情緒不安定だったため、私は息子の都合を優先してしまった。日本の学校と違って送迎が必須だし、息子の帰宅後は空手の習い事、プレイデートや宿題などがあり、息子に付きっきりだった。学校に行っている間は、家事やスーパーへの買い出しをこなさなければならず、娘と向かい合う時間は限られていた。
また、家の中では私と娘の二人きりなので、私は娘が何も言わなくても、娘のやりたいことや言いたいことがなんとなくわかった。そのため、娘は「相手に伝える」という行為をしなくてもよかった。
さらに言えば、家では私は日本語で話しかけていたのだが、一歩外にでればすべて英語の世界。息子の学校の先生や友達のママが娘に話しかけてくれるが、それは英語のみ。もしかしたら、娘の頭の中は日本語と英語で混乱していたかもしれない。

スピーチセラピーは英語だった。そのため、先生が話した英語を私が日本語に訳すという作業が必要だった。例えば、娘がおもちゃを入れようとすると先生が「IN」という。それを私が日本語で「入れて」というのだ。私は「ますます混乱するのではないか?」と思ったけど、先生に言われたとおりにした。
私はスピーチセラピーに加えて、娘を週に1度、日本語のリトミック教室に連れて行った。娘に母国語である日本語を覚えてもらいたかったし、同年代の子供達と触れ合う機会を作りたかったからだ。リトミックは効果があったようで、娘は家でもリトミックでやったことを真似するようになり、少しずつ語彙を増やしていった。

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石森のぶ
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