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ニューヨーク駐在記録「緊急入院!NYのER~後編」

 モルヒネを打たれて痛みが軽減したものの、待ち時間の長さは相変わらず。超音波検査とCTスキャン、血液検査をして、すべて終わって診断結果がでたのが17時すぎ。ERに着いてからすでに7時間以上経過していた。その間はほとんど待ち時間。日本のように次々検査にまわしてくれるわけではないのだ。1つ検査が終わったら数時間待って、次の検査が終わったら数時間待っての繰り返し。本当に長い。(たまたまこの日はシッターさんが息子のお迎えに行ってくれる日だったので助かったけど、そうでなければどうなっていたか)
 私は検査の結果「大腸憩室炎」という病気であることがわかり、ERに一泊することになった。実は昔、この病気に一度かかったことがあり、要するに再発したわけだ。
 しかし、驚いたのは一泊だけということ。日本で発症したときは、一週間の入院だったのに。一体そんな短期間で治るのか?と疑問に思った。
 私は点滴をされてERのベッドへ。そこはベッドの両側が壁になっていて、足元側にカーテンが引かれ、カーテンを開けるとER内の廊下にでるという半個室のような部屋だった。ベッドに寝ると天井にはテレビが括り付けられていた。
 下の子が産まれてから一人で寝たことないわ…今日はゆっくり眠れそう。そう思ったのもつかの間、部屋が異様に寒いことに気がついた。冷房が効きすぎなのだ。私は、上半身はペラペラの検査服で、下半身は履いていったズボンそのまま。掛布団は布団というよりバスタオルのように薄っぺらく、朝から何も食べてないので(この日は断食が言い渡されたため夕食もなし)エネルギーもない。看護師さんに寒いと訴えると、もう一枚掛布団を持ってきてくれたが、寒さはちっとも変わらない。
 しかも、トイレに行こうと靴を履くべく床を見ると、なんと!針が落ちているではないか!危ないだろ、これ!ちゃんと掃除しているのか!というか、看護師や医者はどういう管理しているんだ!もう呆れてものが言えない。
 そんなこんなで部屋は寒いし、おなかは痛いしで、夜はほとんど眠ることができなかった。
 翌日は血液検査後に医者がやってきた。「今の痛みはどれくらい?」と聞いてきたので「3、4くらい」とまだ痛みがあることをアピールした。しかし、医者は「いつでも退院していいよ」と言う。帰宅後は10日間抗生剤を飲めばいいからと。痛くても退院なのか…と思いつつも、極寒の病院より家のベッドのほうがゆっくり休めることに気が付いた。
 この日は、病院食として具がないスープ、具がないゼリー、リンゴジュースと紅茶が出された。私は1日ぶりの食事をかみしめながら食べたあと、タクシーで帰路についた。

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石森のぶ
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