2【中国童子針山】
べんぱつ。
それぞれ黄、青、桃、緑の服を着た子供たちが手を繋ぎ、何か大きな赤い球体を囲んでいる。
古代の中国の子供達を模したこれは、いわゆる唐子。
これは、針山、つまりピンクッション。
神戸の中華街のお土産物屋。
春節祭真っ只中の溢れる人混み。
なだれこむように入った、あふれんばかりに雑多なものが陳列されたお土産物屋で目が合った。
チープである。
なんだか薄汚れている。
・・・粗い。
いやいや、買わないだろう。
しかし、店を一回りしてまた戻ってきてしまう。
再び目が合う。
虚だ。虚空だ。
この目。
くるくる回してみる。
ひっくり返してみる。
特に新しい発見も、感動もない。
どのくらいそうしていただろう。
気がつくとレジに並んでいた。
私は財布から250円を取り出して中国人のお姉さんに渡した。
新しい針山を手に入れた。
数日後、ふと机の上をみると
なぜかここに嵌っていた。
自分で置いたはずなのだけれど、なぜそんなところに嵌めたのか全く記憶にない。
でもなんとなく、ずっとここにいる。
まだ針は刺していない。
2019.2.10@神戸中華街