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5【金彩花柄のグラス】
花柄が好きだ。
いつの頃からか気に入った花柄があると、素材が何であれ用途が何であれ洋の東西や新旧を問わず財布の紐が緩んでしまうようになった。
それも、比較的成人してからの話。
「花柄」
一言で済ませようと思えば万国共通。
世界中にフラワーモチーフは溢れているし、
古代から人は「花」に対して執着してきているように思う。
強いアイコンだ。
しかし、いかにアイコニックな図案だったとしても私のなかで
「お花だったらなんでもよい」
というものではない。
花にだって描かれ方があるし、
描かれ方によって与えられるイメージは違う。
人間の嬉しい時、悲しい時、
感情の節目節目で花は登場する。
思えば花のモチーフに対し、ハッとした感情を抱いたのは
有元利夫の絵画だったように思う。
有元利夫の絵ではしばしば花が登場し、しばしば花が舞う。
絵の中で描かれる花は祝福の象徴であり、「天にも昇る気持」の花である。
同じように、李朝の陶磁器に描かれる花。
これは野の花である。
楚々とした雰囲気でありながらも、野趣たくましく咲く秋の野の花が李朝の雰囲気とよく合っているように思う。
このグラスはおそらく昭和の大量生産品で、型吹きのものではないかと思う。
前回の乳白色ガラスの燭台と同じく、骨董的見どころには欠けるのかもしれない。
しかし、花の図案の躍動感と金彩の雰囲気、案外たくさんの種類が描かれている花たちが目に止まった。
ぐるりと一周する構図のバランスもいい。金だから「ドヤ!」という感じがしないでもないけれど、ドヤりきれていなさそうなところも惹かれる。
若い無敵な町娘感を感じる。
なんとなく、炭酸が合いそうだなと思い注いでみた。
この、ちょっと人工的なイエローとよく合う気がする。
ちなみにこちらを注ぎました。
飲みきれないとわかっているのに、なぜか買ってしまったエナジードリンク。
時分は春だというのに抜け目なく降り注ぐ夏の日差しに、田舎のじゃじゃ馬のようにピリリと効く炭酸だった。
2019.2.5@HANAMIZUKI