マガジンのカバー画像

もの買って来る 自分買って来る

15
私の手元にやってきたもの。 タイトルは河井寛次郎の言葉。
運営しているクリエイター

2019年7月の記事一覧

わたしがものを買うわけ

三姉妹の真ん中、姉とは年子。 10歳以上年齢の離れた従兄弟や親戚が、近所に住んでいた。 当然のように幼いわたしにはたくさんのお下がりが与えられた。 お姉ちゃんとお揃いの可愛いお洋服、 おままごとセット、リカちゃん人形、 どこかパーツがない親戚のおもちゃ、 ゲームセンターでとったキャラクターのぬいぐるみ。 みんな良かれと思って与えてくれた。 自分で選んだ記憶はほとんどない。 誰かからもらったケーキの詰め合わせ。 「憂ちゃんはチョコレートが好きよね」 というみんなからの期待に

8【白化粧灰釉湯のみ】

なんどもなんどもモノは見たことがあったのだけれど、初めて手元にやってきた尾形アツシさんの灰釉湯のみ。 鉄分の多い土に白化粧、灰釉が黄色とも萌黄とも言えない色合いを出している。 口元には石爆ぜ。 尾形さんの器には、一目見てそれとわかるような強烈な個性がない。 実直な工程で生まれるうつわは自分自身が意識を蔑ろにしていると素通りしてしまうタイプのそれだ。 けれど、一旦惹きつけられると強い。 フォルムの細やかな部分、白化粧の具合、焼成、どこをとっても気を抜かれていないことがわ