Vol.170 毎年恒例、日本のがん治療医”Warm 30”<2023年版>発表!
*2024年1月15日発行のメルマガから転載
遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。
能登の震災、日航機と海保機の衝突事故と、心落ち着かない年初となりました。
被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。
私は例年通り、蓼科で年末年始を過ごしていたのですが、本震の際は、山の木々が嘘みたいに左右に振れるのが窓越しに見え、「これはマズい」と身体が直感するような揺れでした。
イシュランメルマガ2024年初の発刊ということで、今号は、毎年恒例の日本のがん治療医”Warm 30”<2023年版>を発表します。
本年も変わらぬご愛読を、よろしくお願いいたします。
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【記事1】 毎年恒例、日本のがん治療医”Warm 30”<2023年版>発表!
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イシュラン毎年恒例の、「日本のがん治療医”Warm30”」2023年版が出ました!
・乳がん https://www.ishuran.com/trophies/2023-warm30-breast
・血液がん https://blood.ishuran.com/trophies/2023-warm30-blood
・婦人科がん https://women.ishuran.com/trophies/2023-warm30-women
・肺がん https://lung.ishuran.com/trophies/2023-warm30-lung
“Warm30”は「コミュニケーション・タイプの投票」「感想の投稿」「サンキューレターの投函」を、イシュラン独自の観点でポイント換算したランキング上位30名の「コミュニケーションの名医」です。
2016年の乳がんから毎年集計して発表していますが、その頃から変わらずお名前を連ね続けられている”常連”の先生がいらっしゃる一方、今年は”新顔”の先生もかなり増えた印象です。
7年経って、医師の世界でも着実に「世代交代」が進んできている感じがします。
昨年から、Warm30に選出された先生方には、イシュラン特製卓上POPを進呈していることもあってか、この取り組みも病院や先生方にかなり認知されるようになってきました。
雑誌などの「日本のがんの名医xx人」的な特集だと、いわゆる有名医師しか出てこないのですが、”Warm30”は、業界歴の長い私でも存じ上げない先生が何人も出てくるのが面白いところです。
日々、患者さんに寄り添いながら診療に励まれている先生方にとって、少しでも励みになるよう、”忖度一切無し”のランキング、今後も継続して参ります。
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【記事2】台湾の肺がん患者の研究から拝察される、遺伝子パネル検査の意義と実力
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昨年11月のメルマガ内で、「肺がんの事例から見えてきた、遺伝子パネル検査の隠れた実力とは」という記事を書きました。
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今回、ある施設で遺伝子パネル検査を用いて調べたところ、
・コンパニオン診断(シングル)では陰性と判定されていた遺伝子変異が、遺伝子パネル検査をすると陽性と判断されるケースが無視できない比率で出てくる
・治療薬が存在する遺伝子変異が見つかる比率は、コンパニオン診断(マルチ)での結果より遺伝子パネル検査の結果の方がやや高い
という結果になりました。
1施設でのデータなので確定的なことは言えませんが、遺伝子パネル検査をすることで、より適切な治療に繋げられる患者さんが一定程度存在していそうというのは、かなり重要な示唆です。
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遺伝子パネル検査の実力と意義を更に考える上で、興味深い研究結果が台湾から先日出てきました。
■"Comprehensive Genomic Analysis of Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer Using Blood-Based Circulating Tumor DNA Assay: Findings From the BFAST Database of a Single Center in Taiwan”「血液ベースのctDNAアッセイを用いた非小細胞肺癌患者の包括的ゲノム解析:台湾の単一施設のBFASTデータベースからの知見」(Journal of Clinical Oncology)
おさらいですが、「ctDNA」とは血中などに流れている、がん細胞の遺伝子レベルの欠片です。この情報を読み解くことで、がんの特性(遺伝子変異)を検知します。
「BFAST」は、国際的に行われている、血液を用いたctDNAの研究で、今回の論文はその中で台湾の患者さんのデータのみを解析したものです。
269人が血液を用いたctDNAの遺伝子パネル検査を実施し、その内264人はがん病変の組織検体の検査も実施しています。
組織検査は、EGFR, ALK, ROS1, BRAFの4つの遺伝子変異を調べるコンパニオン診断(シングル)で行ない、一部(20人)がオプションとして組織検体を用いた遺伝子パネル検査も行ないました。
結果、次のことがわかりました。
・ctDNAの遺伝子パネル検査をした人の内、76%に治療薬が存在する遺伝子変異が検出された
・一方、組織検体の検査では、54%に治療薬が存在する遺伝子変異が検出された
・結果、ctDNAの遺伝子パネル検査を補完的に使用することで、治療薬が存在する遺伝子変異の検出率は42%増加した
シングルのコンパニオン診断だと、たくさんの遺伝子変異を調べるには限界があるので、この結果は当然で、やはり遺伝子パネル検査を初期に行なう方が、より適切な治療に結び付け易いと言えます。
悩ましいのは、データをよく見ると、EGFR, ALK, ROS1, BRAFに関しては、ctDNAの遺伝子パネル検査でしか検出されないケースもある一方で、組織検体でのコンパニオン診断でのみ検出されるケースも同じくらいある点です。
患者さんの治療成績を上げることを考えたら、ctDNAもしくは組織検体を使っての遺伝子パネル検査を基本行なって、補完的にコンパニオン診断を行なう、という方向性が正しそうですが、今後の研究と臨床適用の進展を注目していきたいと思います。
※本項執筆時点(2024年1月15日)で、筆者は一部の遺伝子パネル検査メーカーの株式を保有しています。
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