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岩波少年文庫のあゆみ

「岩波少年文庫のあゆみ 1950-2020」
若菜晃子 編著
岩波書店

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岩波少年文庫創刊の1950年から2020年までの70年のあゆみを丁寧にふり返った本。創刊から今までに出版した本は、巻末にある総目録によると510冊。そのなかから代表作と作家の解説、挿絵画家や翻訳家、著名人の言葉を随所に再録しています。
岩波少年文庫にかつて親しんでいた方、今でも愛読している方は、思い出と重ねて振り返るとともに、再度読みたい本を見つける機会に、これから読む方、最近読み始めた方は、これから読みたい本を見つける機会にもなると思います。
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小中学生時代に心を躍らせた本の多くは、岩波少年文庫であったことから、非常に面白く読みました。作家や翻訳家の文章の再録では、私にとって、日本の子どもの本における神々の面々といえる方々が並び、めくるページ頁で彼らに会えたことが、何より嬉しかったです。

児童文学に対しての知識不足に気づかされると共に、子どもの環境と未来を熱心に考えた作家・翻訳者・編集者・挿絵画家がいたことが、日本の子どもの本を成長させたこと、彼らの試行錯誤と努力に頭がさがります。
岩波少年文庫の発刊に際しての広告で、「この文庫の特色」として挙げられた五項目は、今にも通じる子どもの本をつくるときの精神だと思います。
2章以降の児童文学における挿絵と翻訳に対する態度からは、たくさんの学びが得られました。

そして、未だに読んでいなかった本が多数あることに気づき、新たに読書リストに加わりました。
これから少しずつ読んでいこうと思います。

〈以下瀬田貞二さんの文を抜粋〉
すぐれた本を読むことによって、子どもの子どもらしさが保たれ、はぐくまれ、伸ばされる錨の役目は、時代に比例していよいよ大きくなります。眼に見えるような具体的な論理や情感の整理、愛しあう者のグループの結びあう力、動物への同情と愛、眼に見えないもののうしろにある真実を洞察し共感する能力、空想のたのしみ、値打のあることはたゆまずつらぬく精神力、美しさの好みというもの……こういういろいろな点が、すぐれた児童文学には、理くつぬきで、端的に示され、子どもたちはおもしろさにつられて読みすすむうちに、意識するしないにかかわらず、心地よさ、安らぎの形で、それらを心のおく深くにおちつけていくのです。

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