エレゲイア・サイクル ~序文
ピアニストのブラッド・メルドーは『エレゲイア・サイクル』を一九九九年のロサンゼルスで録音した。その時までに彼は複数の録音を経験していたが、たった一人、ピアノ一台で録音したことはなかった。アルバムは九つの楽曲によって構成されている。『放浪詩人』、『放棄』、『記憶の悪戯』、『ウィリアム・バロウズとアレン・ギンズバーグへのエレジー』、『ライナスへの哀悼』、『トレーラー・パークの幽霊』、『さよなら、ストーリーテラー』、『回顧』、『詩人の帰還』
今現在の彼ならば無用な力みと呼ぶかも知れない当時の意気込みは、彼自身が書いたライナーノーツを読むことで理解できる。彼の興味や関心が執筆活動にそれほど向かなかったことに多くの作家、作家志望者は安堵したものだ。(もちろん、私もその一人だ)
この慎ましい小品群が彼の目に留まることは今後もないだろうが、最大級の賛辞を送りたい。
I・N
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