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石積みと牡蠣とビール
2017年から宮城県石巻市の桃浦という集落にあるもものうらビレッジの土橋さんにお呼ばれして石積みを修復している。
桃浦は東日本大震災で被災した地域で、土橋さんの師匠の漁師さんとお寺以外の家は被災してもう人は住んでいない。そこで、色々な方が協力して宿泊しながら漁業や地域の記憶を継承する施設とプログラムをつくった。もものうらビレッジは海岸から少し離れた山裾にある。昔はここで海の近くに住んでいた人が畑をしていたそうだ。
緩やかな傾斜に段畑の跡と石が残っていた。石は細かい粒子でできていてとても硬くて長い。こういう形の石はとても積みやすい。
石積みのワークショップをするときはいつも漁師の土橋さんが朝採ってきた新鮮な魚や貝を料理してくださるのだが、これがとても美味しい。2018年11月24日に石を積んだときは牡蠣をたくさんいただいた。このとき始めて蒸した牡蠣を食べたが、今まで食べた牡蠣の食べ方で1番美味しかった。生の新鮮な牡蠣も美味しかったけど、蒸したほうが旨味が強くなる。
ところで牡蠣の写真をInstagramにアップしたところ、イギリスの石積み職人さんから、こんなメッセージがきた。「中世のイギリス(たぶんヨーロッパ全体)では石積み職人さんの報酬は牡蠣とビールで支払うのが伝統だった。あなたがたくさん活躍して、美味しいものを食べられますように!」と。後で調べたけれども石積みと牡蠣とビールのことは出てこなかった。どういう所以なのか時間があるときにもう少し調べたい。
イギリスは庭や牧場にたくさん空石積みがあり、Instagramで石の写真を投稿すると職人さんがたくさんフォローしてくれる。彼らの仕事の多くは精緻に加工した石を使う石積みだが、たまに見る古い石積みは乱積みだ。
技術が専門化すると規格化され、一部のプロのみが扱う技術になる。専門性の意義が変わる時代、大量生産が容易なアウラ無き時代では、多くの素人が扱える技術が大切になるだろうと思う。