内科医必見!「機能性ディスペプシア診療ガイドライン2021」の重要ポイント
2021年4月、機能性ディスペプシア診療ガイドラインが改訂されました(以下、新ガイ
ドライン)。
機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia : FD)は、2013年に健康保険対象の病名として認められたばかりの比較的新しい疾患概念です。そのため知名度はいまひとつですが、上腹部症状を主訴に病院を受診した患者の45〜53%はFDであったという報告があるほど日常的に遭遇する疾患といえます。特に内科外来をしている医師にとっては、押さえておくべき疾患だと言えるでしょう。
この記事では、FDの概説、新ガイドラインの重要ポイント2つを解説します。
FDとは器質的異常がない心窩部痛や胃もたれを呈する疾患
心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とした腹部症状をディスペプシアと言い、器質的な異常がなく、慢性的にディスペプシアを呈する状態が、FDと定義されています。
命に関わるような重篤な疾患ではありませんが、慢性的に不快な症状が生じるため、患者さんによってはQOLが大きく損なわれます。いわゆる慢性胃炎と重なる部分もありますが、FDは症状によって定義されているため、胃の炎症の有無とは異なった次元の病気です。
FDの要因としては、以下の因子が複合的に関与していると考えられています。
胃十二指腸運動機能異常
内臓知覚過敏
胃酸分泌
心理社会的因子
生育環境
感染性腸炎の既往
運動、睡眠、食習慣
治療の選択肢は、胃酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬、漢方、抗不安薬などの内服薬から心療内科的治療まで、幅広くあります。
H.pylori(HP)感染をともなうディスペプシアの場合は、HP関連ディスペプシア(HP associater dyspepsia : HpD)と診断され、治療法は除菌療法が第一選択です。HP除菌が困難、またはHP除菌後もディスペプシア症状が持続する場合は、FDとみなして治療をおこないます。
新ガイドラインの2つの重要ポイント
新ガイドラインでは重要なポイントが2つあります。上部内視鏡検査の役割が変更され、薬物療法の第一選択に新たな薬剤が加わりました。
①上部内視鏡検査はFDの診断に必須ではない
旧ガイドラインでは「診療のいずれかの段階で内視鏡検査を行うこと」と記載されていました。しかし、新ガイドラインでは「上部内視鏡検査は必須ではない」と明記されており、明らかにFDと診断するハードルを下げています。
これは「積極的にFDと診断し、治療を開始してほしい」というガイドライン作成委員会の明確な意図があるのでしょう。ただし、以下の警告徴候がある時には、積極的に上部内視鏡検査をおこなうべきとされています。
警告徴候
高齢での新規症状出現
体重減少
再発性の嘔吐
出血
嚥下障害・嚥下痛
腹部腫瘤
発熱
食道癌や胃癌の家族歴
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