シェーグレン症候群は血清陰性と血清陽性で違いはあるの?リウマチ専門医が解説!
シェーグレン症候群は、涙腺や唾液腺で自己免疫性の炎症がおこり、ドライアイやドライマウスをきたす疾患です。腺分泌障害だけでなく、肺や腎臓、皮膚も侵しうる全身性疾患です。
シェーグレン症候群の診断に用いる分類基準には、自己抗体検査として抗SS-A抗体、抗SS-B抗体が組み込まれています。しかしながら、一部のシェーグレン症候群では、抗SS-A抗体も抗SS-B抗体も陰性の血清陰性シェーグレン症候群が存在することをご存じでしょうか。
今回は、血清陰性の場合の診断における注意点を示しながら、血清陽性と血清陰性のシェーグレン症候群について解説します。
シェーグレン症候群の診断には、抗SS-A抗体や抗SS-B抗体は有用
まず、シェーグレン症候群の診断基準について、解説しましょう[1]。
シェーグレン症候群の診断基準を、下記に記載しました。
表.シェーグレン症候群の厚生労働省改訂診断基準(1999年)
1.生検病理組織検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)口唇腺組織でリンパ球浸潤が4mm2当たり1focus 以上
B)涙腺組織でリンパ球浸潤が4mm2当たり1focus 以上
2.口腔検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)唾液腺造影で stage I(直径 1mm 以下の小点状陰影)以上の異常所見
B)唾液分泌量低下(ガムテスト 10分間で10mL 以下、又はサクソンテスト2分間2g 以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見
3.眼科検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)シルマー(Schirmer)試験で5mm/5min 以下で、かつローズベンガルテスト(van Bijsterveld スコア)で陽性
B)シルマー(Schirmer)試験で5mm/5min 以下で、かつ蛍光色素(フルオレセイン)試験で陽性
4.血清検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)抗 SS-A 抗体陽性
B)抗 SS-B 抗体陽性
4つの項目中で、2つ以上を満たせばシェーグレン症候群と診断できます。抗SS-A抗体や抗SS-B抗体といった自己抗体検査はなくても診断は可能です。ただし、シェーグレン症候群では、抗SS-A抗体もしくは抗SS-B抗体が50〜70%で陽性となるため、診断には重要な検査となります[2]。
シェーグレン症候群疑いで血清陰性の場合は診断には注意が必要
シェーグレン症候群の診断では、抗SS-A抗体や抗SS-B抗体が有用なことを説明しました。では、抗SS-A抗体や抗SS-B抗体が陰性であった場合、シェーグレン症候群の診断はどうなるでしょうか。抗SS-A抗体や抗SS-B抗体の項目以外の残り3項目中2つが陽性の場合に、シェーグレン症候群の診断となります。
それでは、規程を満たすドライアイとドライマウス症状があった場合はどうでしょう。もちろん診断基準は満たしますが、ここで鑑別疾患が重要となります。
IgG4関連疾患による涙腺炎・唾液腺炎の場合は、ドライアイやドライマウスは起こりますが、基本的に抗SS-A抗体や抗SS-B抗体は陰性です。そのため、私としては血清陰性の場合は、口唇生検での病理学的な評価が重要と考えています。
シェーグレン症候群の血清陽性と血清陰性における違い
シェーグレン症候群には、血清陽性の場合と血清陰性の場合があることをお伝えしました。では、次にシェーグレン症候群での血清陽性と血清陰性との違いをみていきましょう。
シェーグレン症候群の血清陰性は倦怠感や頭痛の症状が多い
血清陰性のシェーグレン症候群症例では、慢性疼痛や慢性倦怠感といった症状が、血清陽性症状よりも有意に高いとの報告があります[2]。
シェーグレン症候群の血清陰性では高ガンマグロブリン血症は少ない
シェーグレン症候群は高ガンマグロブリン血症を認めることがありますが、血清陰性症例では高ガンマグロブリン血症を認める頻度が少ないという違いがあります。
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