まつ毛を伸ばすグラッシュビスタは目薬の副作用から生まれた!
最近は、睫毛(まつ毛)パーマや睫毛エクステンション(まつエク)をしている人も多いですよね。医薬品にも睫毛を伸ばす効果があるグラッシュビスタ®外用液剤(一般名:ビマトプロスト)があるのをご存じでしょうか?
今回の記事では、グラッシュビスタや睫毛貧毛症、化粧品の睫毛美容液による健康被害について解説します。
睫毛を伸ばすグラッシュビスタは緑内障点眼液の副作用から生まれた!
緑内障治療中の高齢者などで、睫毛がとても長い人を見たことはありませんか?もともと、高眼圧症や緑内障の治療薬として、ルミガン点眼液(一般名:ビマトプロスト)は使用されています。ところが、治療中の患者の中に、睫毛の成長が促進される症例が認められました。この現象はルミガンの副作用として、臨床試験や市販後調査において報告されています。
この結果に目を付けたのが美容医療を扱うAllergan社です。Allergan社は、ルミガンと同じ成分であるビマトプロストを睫毛育毛剤として新たに治験をおこない、2008年に米国食品医薬品局(FDA)で承認されました。日本では2014年に厚生労働省の承認を受けた後に発売されています[1]。
注意点として、グラッシュビスタは保険適用外です。主に医療施設で1万円代で購入できます。
グラッシュビスタは睫毛を長く、太く、濃くする
グラッシュビスタの作用機序を確認しましょう。プロスタグランジンF2α誘導体であるビマトプロストは、真皮乳頭・外毛根鞘のプロスタノイド受容体と親和性があり、以下の効果があります。
毛周期における成長期の延長(睫毛の長さの延長)
休止期の毛包の刺激(睫毛の厚みや太さの増加)
メラニン合成の活性化(睫毛の色の濃さがます)
効果は8週から自覚し、16週で最高に達し、その後中止すると徐々に短く減り、6か月でもとに戻ります[1]。
グラッシュビスタは睫毛貧毛症に有効
睫毛貧毛症とは文字通り「睫毛が不足または消失している状態」のことです。
原因としては、以下のようにさまざまな要因があります[2]。
加齢にともなう変化
化学療法などによる薬剤性
汎発型円形脱毛症
トリコチロマニア(自己抜毛症)
放射線照射
甲状腺機能低下症などの内分泌疾患
特発性
グラッシュビスタは毛包がある場合に有効
睫毛貧毛症の治療は、以下のように様々なアプローチがあります[3]。
視覚をごまかす:眼鏡の縁で隠す、アイメイク(アイライン、アイシャドー、マスカラ)
人工物で覆う:つけ睫毛、まつエク
自己の睫毛を伸ばす:グラッシュビスタ
手術:毛の移植
グラッシュビスタの適応は、化粧品や接着剤などにアレルギーを持つ患者や、化学療法後の睫毛脱毛が気になる患者です。また、グラッシュビスタは簡単に塗布できるため、毎日のアイメイクが面倒な人にもよいかもしれません。ただし、毛包がない場合は適応にならないため注意しましょう。
外傷や腫瘍切除後などで毛包がない場合はどうするのでしょう?その場合は、手術で健側の睫毛や頭髪、眉毛を睫毛欠損部へ移植することで睫毛を再建します[4]。
グラッシュビスタは眼球や周囲の皮膚に付着しないように注意しよう
「実はルミガンを試しに塗ってみたら、目に入って充血した」という人もいるかもしれませんね。グラッシュビスタは、副作用に眼掻痒症や結膜充血などがあります。症状を認めたら、使用を中止して眼科を受診しましょう。
また、皮膚色素過剰や産毛の増加も認めることがありますが、こちらは使用中止でもとに戻るとされています[1]。一番気になる重篤な副作用に、虹彩の色が黒くなる虹彩色素過剰と眼瞼が凹む眼瞼溝深化がありますが、こちらは海外で1例ずつの報告のみです[5]。
副作用の原因は、もっと効果が出るように多く塗布してしまう、あるいは、まばたきによって眼瞼周囲へ薬剤が付いてしまう場合が考えられます[6]。使用法を誤ると副作用がでるため、注意が必要ですね。
また、副作用の対策として、他の部位についたらよく拭く、塗布量を減らす、使用頻度を1日おきへ減らすなどの方法があります。対処によって使用を継続できることもあるので、医師に一度相談してみましょう。
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