【難しい化学の話ありません】CHDFについてちょっと教えて
持続的血液濾過透析(Continuous hemodiafiltration:CHDF)は、集中治療室(ICU)で日常的に用いられる治療です。しかし、研修医や学生、コメディカルから「CHDFって難しい」という意見を耳にします。
CHDFはゆっくりと(持続的に)、血液透析と濾過をおこなう機構であり、文字通りのシステムです。勉強をはじめると「拡散」や「分子」など、難しい言葉ばかりでげんなりしてしまうかもしれません。今回はできるだけ難しい言葉を排して、CHDFについて学びましょう。
透析はコーヒープレス、濾過はコーヒーフィルター
血液透析の目的は、血液中の小さくて不要な物質を取り除くことです。小さくて不要な物質とは、電解質(カリウムやリン)、アンモニア、尿素窒素(BUN)、クレアチニンなどを含みます。
血液透析は、コーヒーを淹れる器具であるフレンチプレスに似た原理です。フレンチプレスにお湯を注ぐと、瞬く間に、コーヒーの色に染まります。コーヒーに含まれる物質が、全体に広がるわけですね。これが透析の原理である「拡散」に該当します。小さな物質は、すいすいと広がりやすいというイメージです。
一方、血液濾過の目的は、透析よりも少し大きな物質を除去することです。血液濾過は、コーヒーフィルターの原理に似ています。コーヒーフィルターにお湯を注ぐと、重力がかかることで、コーヒーの成分を下の容器に運びます。これは「濾過」の原理です。
拡散との違いは、力をかける点、水が移動して物質を運ぶ点です。濾過で除去できる物質には、炎症性サイトカインやミオグロビンなどの中くらいのサイズの物質が含まれます。
ICUではCHDFが運用されることが多いですが、目的に応じて持続的血液透析(CHD)や持続的血液濾過(CHF)と、部分的な運用を選ぶ施設もあります。
急性腎不全に対するCHDFの開始基準は?
CHDFを開始する主な理由は、急性腎不全(AKI)です。どのようなAKI患者にCHDFを開始するべきかは、2020年に発表されたSTARRT-AKI試験が参考になります[1]。「AKIにはできるだけ早く介入したほうがいいの?」というテーマです。
重症AKI(KDIGO分類 ステージ2〜3)の患者を、以下の2グループに分け、90日後の死亡率の違いを検討しました。
早期介入群:12時間以内に腎代替療法(RRT:CHDF等の総称)を開始
標準介入群:72時間以上AKIが続いた場合にRRTを開始※
※標準介入群ではアシドーシス(pH<7.20, HCO3− 12 mmol/L)、高カリウム血症(>6.0 mmol/L)、肺水腫(P/F比<200)の合併症が発生した場合もRRTを開始
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