低血糖治療の新常識!?点鼻式製剤バクスミーについて糖尿病内科専門医が解説
糖尿病のコントロールで低血糖を気にしていますか?特に1型糖尿病や高齢者でインスリンを使用している患者様は、低血糖リスクが高いですよね。今回は、新しい低血糖治療の薬剤であるバクスミー(グルカゴン)を紹介します。
低血糖は交通事故や認知症のリスクを増やしてしまう
はじめに、低血糖の定義やなぜ注意する必要があるのか確認しましょう。低血糖を起こさないためには、シックデイ対策や指示通り内服できているか確認することが重要です。
低血糖と重症低血糖の違いとは
低血糖とは発汗や動悸、顔色が悪い、頭痛、目のかすみ、けいれんなどの低血糖症状があり、その時の血糖値が70mg/dL未満の場合をさします。さらに血糖値が低く60mg/dL未満かつ自分ひとりでは対処できない低血糖症状がある場合は、重症低血糖になります。血糖値の違いもありますが、大切な点は重症低血糖では他者の介助を必要とすることです。
無自覚性低血糖も注意が必要
もうひとつ注意が必要な低血糖として、無自覚性低血糖があります。名前のとおり自覚のない低血糖です。自律神経障害で発汗や頻脈などの交感神経症状が出ない場合や、低血糖を繰り返している場合に、いきなり眠気や昏睡などの中枢神経症状が起こることがあります。特に自動車を運転中には他者を巻き込む事故を起こすことがあるため、無自覚性低血糖を起こさなくなるまで運転をしないように注意が必要です。
重症低血糖は認知症や冠動脈疾患のリスクを増やす
重症低血糖では認知機能低下、不整脈や冠動脈疾患、死亡との関連が知られています[1]。また、重症低血糖の頻度の増加と認知症との関連も報告されています[2]。重症低血糖を起こしやすい高齢者では特に注意が必要です。
低血糖を起こさないために
低血糖を起こさないために、シックデイの対策や内服タイミングを守ることなど基本的な指導が大切です。シックデイとは、普段通りの食事をとれない時をさします。食事が十分にとれない時に、通常と同じ治療がおこなわれると低血糖のリスクになります。普段からどの薬を減量、中止するかなど指示しておくことが望ましいでしょう。新しい内服薬を開始したタイミングやインスリンを増量したタイミングでは、身体に不調が起こっていないかなど確認してください。
点鼻式グルカゴン製剤「バクスミー」は低血糖治療の救世主になる
自分ひとりで対処できない重症低血糖の時に頼りになる薬が、バクスミーです。今までの低血糖治療薬とバクスミーの違う点や効果などを確認しましょう。
注射製剤は非医療従事者の対応が難しい
低血糖を起こした時の対応として、ブドウ糖を飲むように指導する先生も多いのではないでしょうか。自分ひとりで対処できない重症低血糖では、経口摂取ができない時にグルカゴンの筋肉注射を家族がおこなう場合があります。溶解液でグルカゴンの粉末を溶解する必要があり、医療従事者でない家族でも簡単に対応できる製剤が望まれていました。
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