ISHIYA私観ジャパニーズ・ハードコア30年史外伝〜「失った右手が掴んだもの」マサミ伝〜#6 濡れ衣
「#6 濡れ衣」
右手を失うという障がいを抱え、小学生時代には相当なイジメを受けたマサミだが、1960年代当時の田舎町である。現在とは比べ物にならないほど、世の中に偏見がまかり通っていた時代でもあるし、人口が少ない街だというのも関係があったかもしれない。
実家を燃やしてしまい、ダイナマイトで手を失った少年が、否が応でも注目を集めてしまうのは仕方のないことだろう。村社会が色濃く残る時代ならばなおさら「異端児」と捉えられ、周りの人間から疎まれていたのかもしれない。
叔母 田舎なんでね、近所でも友達っていうのも何人もいないし。友達だった年がひとつ下の子かな?その子はマサミのことをよくは言ってなかったみたいでね。だからあまり自分から友達の中には入って行けなかったかもしれないですね。
マサミはちゃんと話せばわかる子だったから、頭ごなしに色んなことを言われるとやっぱりね。だけど人を傷つけるような子じゃなかったから「自分が抑えれば」っていうのがあったみたいですね。私からすればそういう風に見えてました。
父親からの愛情もなく、友人からも疎まれた状況の中でもマサミはなんとか耐えて生きていたが、中学に入る頃になるとグレるようになっていく。
30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!