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ISHIYA私観ジャパニーズ・ハードコア30年史・外伝〜 #1 DISORDER初来日事件

 まえがきで、昭和に初来日したと書いてしまったDISORDERだが、1991年の初来日であるため昭和ではない。
 DISORDER初来日には、HERESYのあとにべーシストのKALVがやっていたバンドであるMEATFLYも来日した。
 招聘したオーガナイザーは、VINYL JAPAN。この時が初めての日本のハードコアとの関わりであった。
 来日公演は東京と京大西部講堂のほかにも静岡県富士市の富士文化センターなどもまわるツアーをDEATH SIDE 、鉄アレイなどと共に敢行した。

 それまでにもCHAOS U.Kの来日があり、同年1991年にも来日公演を行っている。詳細は拙著「ISHIYA私観ジャパニーズ・ハードコア30年史」のCHAOS U.K再来日に書かれているが、noteでの有料連載である「ISHIYA私観平成ハードコア史 #9」にも書かれているので、興味のある方は読んで欲しい。

 DISORDERが観られるということで、日本のハードコアバンドたちは沸き立った。あのDISORDERがやってくるということで、オーガナイザーのVINYL JAPANからKATUTAが対バンやツアーを任されたため、ライブやツアーを一緒に行えることとなった。

 VINYLは、ハードコアバンドの貴重盤などを入手する際によく行っていたレコードショップで、当時どうしても欲しいレコードがVINYLだけには売っていることが多かった。しかしかなり高価だったために、金のない俺は買えないことが多かったレコードショップだった。

 レコードショップとしてのVINYLは知っていたが、オーガナイザーとしては全くわからない。しかしDISORDERが来るということで、そんなことは全く気にせず、かなり盛り上がっていたことは確かである。

 東京公演は新宿アンチノックの2デイズと最終日の3日間。他には千葉市川のClub GIO での2デイズと、静岡と京都をツアーするものになっていてDEATH SIDEと鉄アレイ、BASTARDが一緒にまわることとなった。

 しかしこのDISORDER初来日の初公演で、事件が起きた。

「DISORDER日本初来日事件」

 個人的にではあるが、日本を除いた世界中のハードコアバンドの中で好きなバンドを挙げるとしたら、DISORDERはベスト3 を争うバンドになるだろう。
 日本のバンドを含めても、BEST5には確実に入るほど、個人的に大好きなバンドがDISORDERである。

 それまでに来日を果たした海外ハードコアの中でも、CHAOS U.Kの群を抜いた凄まじさにより、日本のハードコアバンドたちが多大なる影響を受けたことは本編第1章#8で触れた。
 CHAOS U.KとDISORDER、AMEBIXという3つのブリストルのバンドがいないと、ハードコアの中でのノイズコアというものが無かったと言っても過言ではない。それほど世界に影響を与えた素晴らしいサウンドを聴かせてくれるのがDISORDERである。
 どの時期のDISORDERが好きかは分かれるところだとは思うが、DISORDERというバンドは、ハードコアパンクスであれば絶対に外せないバンドである。

 楽曲的にはかなりクセがあるので、どうしても馴染めない人間もいると思うが、あのハチャメチャなサウンドの虜になったパンクスは、世界中に無数に存在する。俺もそんな中のひとりであり、当時狂ったように聴いていたバンドだ。そのDISORDERが来日するということで、期待をするなと言うほうが無理な話である。
 そして初公演の日が来ると、初めてDISORDERが観られるというので、多くのパンクスが新宿アンチノックに集結した。

 記憶が曖昧だったのだが、当時を知る友人に確認したところヘッダー画像にもなっているフライヤーをネットで発見してくれ、初日がサポートバンドの無いDISORDERとMEATFLYの2バンドによるライブだったようだ。画像を勝手に使ってしまったが、問題があれば対応します。

 集まった観客や他の日で対バンするメンバーたちは、かなりの期待を持ってライブを観に行っていたことは間違いない。申し訳ないのだが、MEATFLYに関しては全く記憶がない。それほどDISORDERにしか注目していなかったのだろう。そしていよいよDISORDERのライブが始まった。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!