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#43 東日本大震災とアメリカ

人物、バンド名等説明
・ビアクージー
:サーフィンのウエットスーツで使われるような材質で、缶ビールウィ包むもの。冷えたままの状態が長続きする利点があるが、アメリカでは公共の場での飲酒ができないため、隠す意味もあると思われる。
・MOHAWK:EMO’Sと似たような造りの野外と屋内ふたつのステージがある、オースティンの大きなライブハウス。野外ステージは2階席も広くバーも併設されている。
・SUGI:日本のHARD CORE PUNKバンドのTシャツやレコードジャケットなどを多数手掛け、海外でも絶大な支持を得る広島の絵画アーティスト。
・ボートショー:CHAOS IN TEJASは暑い時期に行われるフェスだが、海まではかなり遠いオースティンなので、近くの湖の大きめな観光船のデッキで、昼間にライブを行う。客はみんな水着で集まり、始まる前や終わった後に船から湖に飛び込み泳ぐのが恒例。
・WILD//TRIBE:UNIT21のメンバーからなる、テキサスのHARD CORE PUNKバンド。
・NO STATIK:2010年頃から活動する、サンフランシスコの女性ボーカルHARD CORE PUNKバンド。
・UNDER THE SURFACE:SOUICHIが運営する日本のレコードレーベル。
・フクちゃん:UNDER THE SURFACEとFORWARDのスタッフ。

#43 東日本大震災とアメリカ

 3度目のアメリカツアーが決定すると、海外の友人たちから「またアメリカかよ。俺たちの国へはいつ来るんだ?」とも言われるようになり、アメリカばかり行ったことで、他国でのライブが現実味を帯び始めた。
 まずは日本の現状をリアルに海外へ伝えることで、日本の外から働きかける力も生まれるかもしれない。広島、長崎の原爆投下に、今回の福島第一原発の事故による放射能汚染。ここまで多くの放射能被害を受けた国は、世界を見渡しても存在しない。
 できる限りの支援をバンドや個人で行なってはいたが、「俺みたいな人間にでも何かできることはないか?」と考えた末、「俺ぐらいの人間にでもできるのは、伝えることだ」と思い、アルバム発表と、伴うツアーを敢行した。

 2度のツアーでコネクションはできていた。一番効果があるのがアメリカであると考え、さらに、「CHAOS IN TEJAS」のような大きなイベントであれば、関心を向けてくれる人間もたくさんいるはずだ。
 キリスト教が基本にある国なので、一般的にはみんなが慈悲の精神を理解している。実際ホームレスには、日本よりも優しい対応をしているのを何度も見た。
 日本より人口が多く、HARD CORE PUNKの観客の絶対数も違う。これまでやってきたツアーによってアメリカHARD COREシーンでFORWARDを知ってくれている人間が増えてきたと聞く。それならば日本の現状を伝えやすいのではないか?みんなが聞いてくれるのではないか?
 報道などの国家が行うプロパガンダではなく、個人や信頼できる仲間たちの繋がりから得られた情報や事実を、海外に伝えれば、何かアクションを起きるかもしれない。アクションは起こさなくても、誰かの心の中に変化が起きれば、悲惨な人災を防ぐ力になるかもしれない。とにかく伝えることだ。寄付も集まりやすいだろう。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!