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[読書ログ]「ハンカチともだち」なかがわちひろ

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図書館で見つけてその場で立ち読みし、一気に好きになった本。

あらすじとしては、こんなハンカチ持ってたっけ?と思いながら学校にハンカチを持っていく。ハンカチには小人が住んでいて、小人を守るためになるべくハンカチを守ろうとして友達と喧嘩してしまう。それを助けてくれたミヨンちゃんも実は同じように不思議なハンカチを持っていて、ハンカチともだちになるというおはなし。

絵に小さな文字が入っていて、ある意味、地の文が説明文、小さな文が話し言葉や心の声のように使い分けられている。不思議な使い分けだ。

冒頭でいうと、以下のようになる。
絵の近くにある小さな文字は()で表現した。
※本の中では()ではくくられていない。

おかあさんが、はるちゃんにききました。
(ハンカチ、もった?)
(あっ!)
はるちゃんは、いそいでへやにもどって、タンスのひきだしをあけました。
すると、みたことのないハンカチがありました。
こびとがベッドですやすやねているハンカチです。
(かわいい……けどこんなのもってたっけ?)

ハンカチを使いたくないけれど、1時間目から5時間目までことごとくハンカチを使う場面に遭遇する。

こびとがいる不思議なハンカチだが、こびとが何かをするわけではなく、それはあくまてはるちゃんが大事にする理由付けとしてこびとが動く。

そうして、まりなちゃんという友達が途中、悪気なくハンカチを貸さないはるちゃんを責めたり、一緒に遊んでいる時にブランコがひとつ足りなかったけど、誰も貸したくなくてぎこちなくなったりする。
なかなか輪に入れないでいるはるちゃんを励まそうとするこびと。

しかし最終的にはるちゃんの友達になるのは、同じように不思議なハンカチをもっているミヨンちゃん。

こびとのおかげでミヨンちゃんと仲良くなれた、という構図。
メルヘンなこびとが、はるちゃんの本当の救いではない、というのが救いになっている。

ふしぎなハンカチという面白さをもっと広げるほうが、読者としては面白く読めるだろう。
でも、そこにフォーカスしない。こびとの設定を最大限使わないのだ。

こびとがハンカチから飛び出すことだって、こびとが魔法を使うことだってできるけど、それをしない。

主題はあくまで、はるちゃんのこびとへのやさしいまなざしと、クラスでうまくやっていくなかで大切な友達に出会えたことであるところにおもきがおかれている。
わたしはそれに好感が持てたし、面白く感じた。

ふつうは「かわいいおはなし」で終始するのではないだろうか。

たしかに一見かわいいおはなしだ。でも物語の中ではるちゃんが感じた悲しさや寂しさのリアルに共感できたし、そこをもっと読みたいと思った。
はるちゃんはどうやってそれらと向き合うのだろうと。

”はるちゃん”だったことがある子どもなら、面白く読めるのだと思う。

そういう意味だと割と狭いターゲットになってしまう。それをハンカチのメルヘンさでカモフラージュしている。と自分はそう読みたい。
読みたいが、それは作者の意図ではないのだろうと分かる。

良い絵本でした。

もう少し言えば、絵の隣の小さな文は本文にちゃんと載せてほしい。
文だけで音読するときにぎこちなくなるのが、少し気になってしまう。
自分で読むにはいいのだろうけども。


自分の大切なものを、他人にも同じように大切に思ってもらいたい。
そう思うけれど、それは押しつけがましい希望だ。
他人は自分ではない。

でも自分はAの好きなものはよくわからないけれど、Aにとっては大事なものなんだ、
と認めることが、多様性を受け入れるってことなんじゃないかと、そんなことを思った。


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