[読書ログ]「きみなんかだいきらいさ」
「きみなんかだいきらいさ」
文: ジャニス・メイ・ユードリー
絵: モーリス・センダック
訳: こだま ともこ
出版社: 冨山房
あらすじ
いつも仲良しの友だちと今日は大げんか。
もう口なんかきいてやるもんか、と思ったけれど、やっぱり気になって仕方がない。(絵本ナビより)
感想
※ネタバレしかありません。注意。
正方形のちいさい絵本。
絵は「かいじゅうたちのいるところ」のモーリスセンダック。
いつも仲良しだったジェームズとジョンは今日はけんかしている。
絵本だからこその文章のシンプルさ。
だけど説明しすぎず、絵から読み取れるのが絵本のいいところ。
「きみとはぜっこうだ!」
「いいとも!」
「さいならあ!」
「さいならあ!」
「ねえ、ジェームズ!」
「なんだい?」
「ローラースケートやらない?」
となる。
物語の半分ほど、お互いをきらいあって、だいきらいだと言いながら、後半、さいならをしたあとすぐ、なかよくなる。
すき、きらいという感情を見せること。
きらいなことをきらいということ。
きらいだけど、ちょっとしたきっかけですきになること。
やさしくて、ほほえましく思えるのは、センダックのかわいらしい絵の力が大きい。
最後の仲良くなるまでの過程がサクッと終わるので、急展開に展開はやすぎ、という意見も見かけたが、この切り替えが子どもらしさなんだと思う。
この本を読んで、けんかした子どもが、けんかした相手を思い出したり、仲直りができるかも、と思えるきっかけになっているといいなと思った。
これを対象年齢を上げて、小学中学年あたりでやったらどうなるだろう。
きらいから好きになる展開には理由が必要になるし、もう少し時間をかけて仲直りしなければならなくなる。
絵本だからできるテンポと愛らしさだと思った。