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反省だけなら猿でもできる 日テレの調査報告に思うこと①

最初に注意喚起をさせてください。
日本テレビ(以下日テレ)が公表した「セクシー田中さん」事件の社内調査チームによる調査報告文書は、およそ常人には理解しがたい胸糞悪いものになっています。

実際に読んでみると、自分たち(日テレと脚本家)の保身を第一にした内容に様々な感情がわき上がってくると思います。
不快感・怒り・悲しみ・やるせなさ・憎悪……

なので、メンタル的にキツイと思ったらすぐに読むのをやめてご自身の好きなことに没頭し気分転換することをおすすめします。

とは言え、この保身にまみれた醜悪な報告書を出来るだけ多くの方々に読んでいただきたいとも思っています。
日テレがいかに最悪なテレビ局かが如実にわかります。
全文は以下のサイトから読めますのでお時間のある時にでも少しずつお読みいただけると幸いです。

出来れば実際に報告書を読んでいただきたいところですが、90ページ以上と結構なボリュームなので私が個人的に気になった箇所を抜粋し一言そえるという形の記事になります。
ちなみに報告書に登場する人物たちはプライバシーへの配慮で原文から全員匿名になってます。


注目ポイントその一

日本テレビは今回の事態を極めて厳粛に受け止め、本年2月、ドラマ制作部門から独立した社内特別調査チームを設置

プレスリリース

今回の事件を厳粛受け止めているならば「社内特別調査チーム」ではなく「完全外部の第三者チーム」にするべき。


注目ポイントその二

なお、本件 原作者の死亡原因の究明については目的としていない。

PDF報告書1P

一番目的としなければならないことでしょう。


注目ポイントその三

脚本制作 では、CP の関与は比較的少ない。CP は第 1 回放送に向けた脚本打ち合わせに参加す ることはあっても、基本的に 2 話以降はプロットや脚本を読み、P に指摘やアドバイ スをすることが多い。一方で、若手 P は脚本の進行具合や内容について都度 CP に相 談することもある。CP が撮影現場を訪れる機会は少ない。メインキャストのクラン 6 クインやクランクアップ、トラブルがあった場合などに出向く。CP は先々の企画の 調整やキャスティング作業を行うなど複数のドラマに同時進行で関わっているため、 制作体制の大枠が決まると、CP が制作現場に直接関与する機会は徐々に少なくなる。

PDF報告書5-6P

早々にCP(チーフプロデューサー)擁護が始まってます。


注目ポイントその四

2024 年 1 月 26 日に公 表された本件原作者のブログにあるような「必ず漫画に忠実に」「漫画が完結してい ない以上、ドラマなりの結末を設定しなければならないドラマオリジナルの終盤も、 まだまだ未完の漫画のこれからに影響を及ぼさない様『原作者があらすじからセリフまで』用意する」という条件は小学館からは口頭あるいは文書で提示されていなか った。
なお、この点についての当調査チームの質問について、C 氏、D 氏は条件として文 書で明示しているわけではないが、漫画を原作としてドラマ化する以上、「原作漫画 とドラマは全く別物なので、自由に好き勝手にやってください」旨言われない限り、 原作漫画に忠実にドラマ化することは当然という認識である旨書面回答している。

PDF報告書10-11P

この「C氏」「D氏」は小学館関係者で、日テレのドラマ制作者たちと話し合いをしていた人物。
この証言が真実であるならば、芦原さんの提示した条件を小学館サイドが日テレに伝えていなかったことになり、すべての元凶の可能性があります。


注目ポイントその五

本件脚本家が A 氏に対し、本件 原作者のドラマ化に対する姿勢を聞いたところ、A 氏は「難しい人」(こだわりが強 い人)と聞いている旨述べた。本件脚本家は「難しい人(こだわりが強い人)かー」

PDF報告書12P

今回の報告書にたびたび登場する「難しい人」。
原作者に対するリスペクトの欠片もない呼び方です。
それどころか原作者にも問題があったと言わんばかりの印象操作の一つですね。
日テレ・小学館ともに使っています。


注目ポイントその六

本件脚本家は、この時点で A 氏からは雑談で「難しい人(こだわ りが強い人)」という話はあったかもしれないが、明確な説明はなかった、自分は原 作者との間に揉め事が生じるのは嫌なので、この時点でもし「難しい人」と説明され ていたら、必ず「どの程度難しい人なのか」「改変がどこまで許されるのか」等、詳 細の確認を求め、その上で執筆を引き受けるか慎重に判断したはずである旨述べて いる。

PDF報告書12P

ん? なんとなくつじつまが合ってないような……。
原作者との揉め事は嫌なのであれば明確な説明を求めるのではないでしょうか。
「A氏」とは日本テレビドラマ制作関係者。プロデューサー?


注目ポイントその七

本件脚本家も原作漫画がしっかりしているので、大きく変える必要はないと いう意見だった。コアメンバーの間では「原作を大切にしよう」という話は当初か らされていた。本件脚本家の記憶では、最初の本打ちの際、本件ドラマ全体の方針 や軸となる部分について協議し、本件脚本家から女性 2 人(朱里・田中さん)のシ スターフッドの要素を取り入れることが提案され、それを一つの軸とすることに なった。本件ドラマの方向性としては「原作のいいところを活かしながら、ドラマ として成立できるとことを探る」というところに落ち着いた。

PDF報告書13P

サイコパスかな?
「原作を大切にしよう」と言いつつ原作にはない要素を取り入れる流れになるのか理解できません。


注目ポイントその八

原作者 からの修正意見は、原作者によるその理由の説明が付されており、当初は、指摘の 数自体は少ないが丁寧なものであった。

PDF報告書14P

本件原作者からの指摘は、C 氏が文面を整えたり、失礼な物言いになる部分は表 現を調整したりしていた

PDF報告書14P

悪意に満ちた表現ですよね。
ここでも原作者にも問題があったと思わせたい印象操作が見られます。
失礼な物言い? 約束を守らない人たちに礼儀を尽くす必要はないですよ。
原作者の印象を悪くして脚本家を擁護しようとしているのでしょうか。


注目ポイントその九

当調査チームへの C 氏の書面回答によると、ドラマ化の初期段階で、プロットへの 本件原作者の指摘が修正されずに制作サイドから戻ってきたため、C 氏が本件原作者 に対し、本件脚本家に直接会って伝えるかと聞いたところ、本件原作者は実際に脚本 家に会うと言いたいことがはっきり言えなくなってしまうから会いたくない、と答 えたということであった。

PDF報告書15P

ん? 芦原さんの発言と矛盾しているような……

私達は、ドラマの放送が終了するまで、脚本家さんと一度もお会いすることはありませんでしたし、監督さんや演出の方などドラマの製作スタッフの皆様とも、ドラマの内容について直接、お話しさせていただく機会はありませんでした。

芦原妃名子さんのブログ

もしC氏の証言が正しいのであれば、このような書き方にはならないと思います。


注目ポイントその十

A 氏は C 氏に 1~3 話の修正した脚本をメールで送り「半分以上そ のまま修正致しましたが、こちらも修正したくない箇所もあり、その箇所は先生の 修正意図を汲み取りながら修正させて頂いております。『全部抜いて』『丸っと入れ 替えて』などではなく、今回の方向性で判断して頂けますと幸いです。」とのメッ セージを添えた。

PDF報告書17P

まさに「何様のつもりなのか」ですね。
原作者をないがしろにするにもほどがあります。
「原作を大切に」なんてまったく思ってないじゃないですか。


注目ポイントその十一

脚本化の過程で 本件原作者の了承がどうしても得られない場合は、本件原作者自ら脚本を執筆する 可能性があること、これを実施すると、専業の脚本家の方に大変失礼であるので、予 め了承を取っておいてほしいことを述べ、B 氏も了承したということであった。
もっとも、B 氏によると、上記のことはこの時点では言われた記憶はない、ということであった。

PDF報告書18P

言った聞いてないの水掛け論になってます。
「B氏」とは日本テレビドラマ制作関係者。おそらくチーフプロデューサー。


注目ポイントその十二

4 話のプロットについてのやりとりをしている中で、C 氏から A 氏に 本件脚本家に読んでもらうには少々憚られる内容であるが、推敲するとわかりづら くなってしまいそうなので、というコメント付きで「脚本懸念点について」というタ イトルで本件原作者の言葉通りそのまま Word 文書にしたものをメールで送ってきた。 その Word 文書では、オリジナルのセリフやり取りが挟まっている点について、冗談 とはいえ、ふつーに感じ悪いなと思ってしまう、一連のセリフの流れが意味不明、こ んな短いシーンでも理論立てて説明できないキャラの言動の不一致が起こってしま う、他人をディスる言葉の扱い方と、文脈やキャラの言動の破綻が気になる、切り 貼り挿入も前後の意味が繋がっていない等と指摘のうえ、「原作があるうちは、失礼 だと思いつつ事細かに指摘して修正してもらうことも可能だけど…、オリジナル展 開の 9 話 10 話で、収拾つかなくなっちゃうんじゃないかと、不安に感じてます。」と 記載されていた。この時、A 氏は、C 氏が今までは表現を柔らかく変えて本件原作者 からの指摘を自分に送ってきていたことを認識した。

PDF報告書21P

この原作者からの指摘のどこに「少々憚られる内容」があるのでしょうか。
端的に問題点を指摘しているだけです。


注目ポイントその十三

本件原作者の指摘は C 氏が言葉遣いを柔らかくしたものであっ ても、本件脚本家にとっては厳しい口調であってそのまま読むのはつらくなった ことから、本件脚本家は A 氏に対して、本件原作者の指摘は A 氏が咀嚼したうえ で伝えてほしいと依頼した。

PDF報告書23P

脚本家は子供かな?
読むのがつらくなるという原作者さんのメッセージがこちら。

漫画とドラマは媒体が違うので、本当はドラマ用に上手にアレンジして頂 くのがベストだって事は、私も良く理解してるんですよ。 (中略) でも、ツッコミどころの多い辻褄の合わない改変がされるくらいなら、しっ かり、原作通りの物を作って欲しい。 (中略)
これは私に限らずですが… 作品の根底に流れる大切なテーマを汲み取れない様な、キャラを破綻させ る様な、安易な改変は、作家を傷つけます。悪気が全くないのは分かってるけ れど、結果的に大きく傷つける。それはしっかり自覚しておいて欲しいです。 最終的に意にそぐわないモノが出来ても、多くの作家は公に文句が言えない です。莫大な数の役者さんスタッフさん達が、労力や時間を使って関わってく ださってる事を知ってるので。その事に対しては、本当にとても感謝をしてい るので。なので、闇雲に原作を変えるな!と主張しているわけではなく、より よいドラマになるように、自分を守るために、現段階で出来るベストを尽くし ているつもりです。 宜しくお願い致します。

2023 年 9 月 11 日、C 氏から原作者の意見として A 氏に送付されてきた Word 文書より。

確かに今読むと胸が締め付けられます。
少しでもわかってもらおうと言葉を選び訴えかけてる原作者の気持ちは最後までドラマ関係者と脚本家には伝わりませんでした。
脚本家には小言や批判としか思えなかったのでしょうね。よくもまあそんな理解力で脚本家を名乗れるものかと呆れてしまいます。


注目ポイントその十四

C 氏から、自分個人としては、本件脚本家、監督がここまで 歩み寄っているので譲歩すべきだと思うが、初めの時点で言ったとおり本件原作者 は「難しい」作家であり、これ以上押せば全てをひっくり返す騒ぎになりかねないこ と、本件原作者が本件脚本家の書くものが耐え難い、別途 Hulu で配信予定だったス ピンオフ作品も取りやめると言い出していること、2 話追加台本の修正のことで 8〜 10 話も一言一句絶対に変えないでと更に強固になってしまったので、何とか折り合 いをつけてほしい、コントロールが効かず、大変不甲斐ない話ではあるが、

PDF報告書25P

死人に口なし。好き放題言ってますね。
小学館のC氏も日テレに負けず劣らず原作者に対するリスペクトがまったくないことがわかります。


注目ポイントその十五

C 氏を通じた本件原作者の撮影シーンに関する問い合わせに対し、A 氏は既に当該 シーンは撮影済みである旨回答を行ったが、実際の撮影は 5 日後に予定されており、 そのまま予定通り撮影が行われた。
(略)
既に従 前からの経緯により、本件原作者の制作サイドへの信頼は損なわれつつあったところに、この撮影をめぐる事態の発生により、本件原作者は「制作サイドから何を言わ れても信用できない」という思いを抱いた。
なお、この問題は撮影内容をめぐって主 に本件原作者と A 氏との間で生じたものであり、本件脚本家には関係がなかった。

PDF報告書25-26P

これはあまりにも酷いですね。
原作者に嘘をついてまで自分たちの都合を押し通すなんて。
信用しろという方が無理な話です。
しれっと脚本家擁護を差し込んでいるのもポイントです。
そもそも原作通りに書いていればこんなことにはなっていません。


注目ポイントその十六

C 氏から A 氏を外して B 氏に本件原作者が以下概要のとおり言って いるというメールによる連絡があった。
・ 脚本家は今すぐ替えていただきたい。
・ 最初にきちんと、終盤オリジナル部分は本件原作者があらすじからセリフ まで全て書くと、約束した上で、今回この 10 月クールのドラマ化を許諾し た。
・ この約束が守られないなら、Huluも配信もDVD化も海外版も全て拒絶する。
・ 本件脚本家のオリジナルが入るなら永遠に OK を出さない。度重なるアレン ジ21で何時間も修正に費やしてきて限界はとっくの昔に超えていた。
・ B 氏が間に入ったというのを信頼して今回が最後と思っていたが、また同じ だったので、さすがにもう無理である。

PDF報告書30-31P

C 氏から A 氏に本件原作者が作成した 9,10 話の脚本がメールにて送 付された。同年 11 月 1 日 A 氏はこれを本件脚本家に見せ、制作サイドで作成した 脚本は認められないこと、自分も大変憤っているがこれをのまないと放送できな い旨を伝えた。本件脚本家にとっては青天霹靂のことであり驚愕したが、A 氏にこ れを受け入れないと本編放送及び二次利用についてもすべて差し止めると小学館 から言われているので受け入れてほしいと懇願され、本件脚本家はやむを得ず、A 氏に対し 9,10 話の脚本を降りる旨告げた。

PDF報告書31P

本件ドラマの放送が終わった後、D 氏を通じて B 氏が聞いたところによると、本 件原作者は本件ドラマのキャストやスタッフに対する感謝の意を表していたとの ことであった。また、当調査チームへの C 氏の書面回答にも、「最終的に本件原作 者のご意向をすべて反映していただき、原作者としてご納得のゆくドラマにして いただいたと思っております。」ということであった。

PDF報告書31P

原作者のことを”さんざんわがままを言って現場を混乱させた上、脚本家を降ろさせたあげくあっけらかんとしている「難しい人」”にしようとする印象操作ですね。

②に続きます。


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