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『人のやる気に火をつける承認のチカラ』

◆人は、「自分のことを認めて欲しい」という性質があります。

人は、自分の存在を認めてくれる人がいると安心するし、力にもなります。

反対に、無視・放置や攻撃など、自分の存在を否定したり、脅かしたりする存在の人がいると安心することができません。

人が安心してやる気になるには、「存在を認めてあげる」ことが大切なのです。

◆ 人は、自分を認めて欲しい

以前も書きましたが、「マズローの欲求の5段階説」というのがあります。

人が生きていく上で一番大切な欲求に、「生存欲求」があります。

人は衣食住など、日々の生活をする上で、
自分の状態や環境など必要な欲求が満たされ安定した生活ができるようになると、
次には、より上位の欲求を満たしたくなります。

その中にあるのが、「承認欲求」です。
周りの人から自分の存在を受け入れ、認められることで自分の欲求を満たしたくなります。

自分の状態が満たされ、安心安全な状態になると、自分の外や上位の欲求を求めたくなるのは、人として自然な反応なのです。


◆ 承認と褒めるは違う


 相手を認めてあげればいいのなら、ほめてあげればいいと思いますが、ほめ方にも気を付ける必要があります。

 一般的な「ほめる」イメージは、相手が出来たことに対して「評価」して褒めることです。  
出来ていたらほめるけど、出来てなければほめないという、相手の行動に対する成果や判定をしています。
 考え方によっては、ほめられれば「いい」、ほめられなければ「悪い」という評価を相手に植え付ける、相手を「操作」していることにもなるのです。

これに対し、「承認」は、相手が「出来ていても、出来ていなくても」することができるのです。

◆ 承認には、どんなものがあるのか

 承認には、3つ種類があります。
・存在承認
・成長承認(事実、変化)
・成果承認です。
 存在承認とは、相手の存在自体を承認することです。
 「いてくれてよかった。」「助かったよ」「役に立つなあ」

 成長承認は、相手の発言や行動に対する成長を感じられた時に、その事実や変化をそのまま伝えることです。
 「よくできたね」「速くできるようになったね」「よく頑張っているよ」

 成果承認は、相手の成果を見つけて伝えるものです。
「ほめる」と同じですが、この際に気を付けたいのは、結果だけの成果ではなく、過程も含めての成果を伝えることです。
 また、先ほど承認は、「事実や変化をそのまま伝えること」と書きましたが、相手ができていなかった時にもすることができます。
「頑張っていたけど、もう少しだったね」
「今回は残念だったけど、よく頑張っていたよ」
過程の中の事実を「否定せずに承認して」伝えてあげることで、自分のことを見てくれている安心感とうれしさを感じ、また頑張ろうという気持ちになるのです。

いずれにしても、結果だけではなく、結果に表れなかった過程を含めて、伝えてあげることが大切です。
承認は、普段から相手をよく見ていないとできないのです。

◆ 承認はIメッセージで伝える

「人を承認する言葉をいくつか上げてください」と言われたら、どんな言葉が思いつきますか?

「すごいね」「よくできた」「頑張ったね」「やればできる」・・などの言葉があると思います。
 
これらの中の共通点を探すと、「あなたは、すごい」「あなたは、よくできた」など、主語が「あなたは」となっています。
 この様なメッセージを「YOUメッセージ」と言います。
 
このYOUメッセージも承認の言葉として有効で、伝えられた本人としては嬉しいものです。
しかし、あくまでも見ている相手の基準の中からの言葉ですから、本人が自覚している状態と乖離している場合、大袈裟に感じて恥ずかしくなったり、違和感が生じるなど素直に受け取ることができない場合があります。

 これに対して効果があるのが、「Iメッセージ」です。
「助かったよ」「頼りにしているよ」「誇りに思うよ」「嬉しい」などは、
「私は助かった」「私が頼りにしている」「私は誇りに思う」など

 伝える側の感じた気持ちを伝えると、どんな言葉であっても、あくまで相手の感じたことなので「へぇー、そうなんだ」と素直に受け取ることができます。

 両者の違いを焼き方で例えると、「直火焼きと遠赤外線」の違いでないでしょうか。

 直火で焼かれた場合に、火力調整を間違うと、火力が強すぎて、焼けすぎたりします。
 
これに対して、遠赤外線であれば、少し離れた距離感でジンワリ温めながら焼けていきます。時間はかかるかもしれませんが、焦げることを心配する必要は

 このように直接言われると感じ過ぎて、恥ずかしさや抵抗感が生じることもあるかもしれませんが、間接的だと、すんなり受け入れることができると思います。

 直接か、間接かで受け取り方がだいぶ変わるものです。
 相手のやる気に火をつけるには、Iメッセージを使うのは効果的です。
 ただし、「相手をやる気にさせよう」と下心が見え見えだと、返って不信感の対象になる場合もあるので、注意が必要です。

 あくまでも自然に認めてあげるのが、相手をやる気にさせるコツです。

【 まとめ 】

◆人は、「自分のことをいつも認めて欲しい」という性質があるから、人は自分の存在を認めてくれる人がいると安心するし、力になる。

◆「生存欲求」という、生きていく上で必要な欲求が満たされ、安定した生活ができるようになると、次には、より上位の欲求を満たしたくなる。

◆相手の心をつかみたければ、Iメッセージが有効。ただし、下心が見え見えだと、返って不信感の対象になる場合もあるので、注意が必要。



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