毎年同じ。でももう二度とない一日。

11月なのに暖かい。
今年はホントに変な気候ね。

こんなことを毎年、ずっと言っている気がする。

ちなみに昨年はどうだったかと、新聞をひっくり返してみると、高温の影響からか、柿の実の変形が発生したという話題で持ち切りだった。
おそらくその時も「今年は変な気候」
そう言っていたと思う。

しかし、暑くても、寒くても、季節が変わる準備をする必要がある。
東北地方に住んでいれば、そろそろタイヤ交換という時期だ。

東日本大震災前。もはや12年以上前。
タイヤを置いていたことから実家に帰って自分で交換をしていた。天気の良い休日、平らな場所に車を停めて、車庫から４本の「スタッドレスを持ってくる。若かったあの頃は、両手に一本ずつ。２回の移動で済んだ。

タイヤを安全のために車の下に置いたら、車に付いているタイヤのナットを少しだけ緩ませ、ジャッキで車体を持ち上げる。

無言の作業だけれど、いつの間にか近所の黒猫が近くに座って、興味深げにこっちのようすをみている。たまに後ろ足で耳をかいたりしながら。かわいい視線を感じながら、やわらかな秋の日差しの下の時間が好きだった。

道具選びも好きだった。タイヤ交換なんて、レンチ一本でなんとかなるが、道具箱を見ると、年季の入ったゲンノウやドライバーなどとともに、見たことのないピカピカの品も。「親父も爺さんも、買っただけで使ってないな」と、初めて使うのが自分だという、大したことはないけれど、少しだけ満足する瞬間だった。

特別、面白いことも、何もないけれど忘れられない秋の日。あの猫と一緒の時間だったタイヤ交換もそんな一日だ。

この時期の良い思い出。

さぁそろそろ、今年もガソリンスタンドが混む前に交換しよ。