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ソーシャルシネマ

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映画を通して社会について考えられる映画(=ソーシャルシネマ)を紹介する記事を集めています。
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2020年5月の記事一覧

9年越しに『100,000年後の安全』を見たら少し楽観的になっていた

9年越しに『100,000年後の安全』を見たら少し楽観的になっていた

UPLINK見放題37本目は放射性廃棄物の最終処分場についての映画『100,000年後の安全』です。

2011年に3.11の直後に見て、geenzに記事を書きました。その時の記事はこちら。

自分で言うのも変ですが、これはこれで言ってることはわかります。放射性廃棄物の問題は私たちが考えなければいけない問題として今もここにあることは事実です。

ただ、9年ぶりに見て思ったのは、「この映画、同じこと

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ウィズ・コロナ時代に必見の『ラッカは静かに虐殺されている』の次に観てほしい映画

ウィズ・コロナ時代に必見の『ラッカは静かに虐殺されている』の次に観てほしい映画

greenz.jp5本目のUPLINK見放題記事です。

『ラッカは静かに虐殺されている』は本当におすすめなので、ぜひ観て、記事も読んでください。

ここでは、見たよ!という人のために、ぜひ観てほしい関連作品を2本上げておきます。

1本目は『すべての政府は嘘をつく』

こちらは、独立メディアについての作品で、かつアメリカが舞台なので、中東という精神的な距離が遠い国が舞台の『ラッカは静かに虐殺され

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リアルに引きこもりを描くと社会の問題が見えてくる『今、僕は』

リアルに引きこもりを描くと社会の問題が見えてくる『今、僕は』

UPLINKの見放題、作品が追加されて77エピソードになっているんですが、今回は追加されたものの中から一本。新作『ふたつのシルエット』の公開を待つ竹馬靖具監督の2009年のデビュー作です。

引きこもりの青年を描いていて、その心情にわかり味しかないんですが、そこから引きこもりを生み出しているのは社会であると考えるに至りました。

映画自体は社会問題を扱った映画ではなく、一人の青年の心の動きを描いて

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12年ぶりに『おいしいコーヒーの真実』を見て背筋を伸ばす

12年ぶりに『おいしいコーヒーの真実』を見て背筋を伸ばす

今回の(今季の?)新型コロナウイルス禍も収束に向かいすつあるようですが、UPLINK見放題は続いています。この作品で記念すべき30本目!やっと30本まで来たので勝手におすすめランキング中間発表でもやりたいところです。

で、今日のところはこちら『おいしいコーヒーの真実』。この作品は記録をたどっていくと2008年に見ているらしく、12年ぶり2回目です。12年前とは思えないくらい鮮烈な記憶が残っていて

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映画の手法も素晴らしい『アルマジロ』は本当の戦場を感じられる。

映画の手法も素晴らしい『アルマジロ』は本当の戦場を感じられる。

戦争って一体どのようなものなのか。知らない人のほうが世界には多いわけですが、それでも今も世界のどこかで戦争は起きています。なぜ兵士は戦うのか、死ぬかも知れないのに。

この映画を見ればそれがわかるとは言いません。でも、この映画は私たちを見事に戦場に連れて行ってくれます。それはこの映画の見事な手法によるもの、その事も記事に書きました。

そして、戦場で私たちが目にする兵士たちの生の感情。そこから見て

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『トゥーマスト』は武器ではなく音楽で迫害と戦う。トゥアレグ族を知れただけでも見る価値があった。

『トゥーマスト』は武器ではなく音楽で迫害と戦う。トゥアレグ族を知れただけでも見る価値があった。

週末を挟んで2本ということで連投になりますが、お付き合いください。

1本目は、サハラ砂漠の遊牧民トゥアレグ族のロックバンド『トゥーマスト』のドキュメンタリー。

トゥアレグ族のことも、トゥーマストのことも知らなかったので、知れてよかったというのが何よりの感想。トゥアレグ族の人々は欧米によるアフリカの植民地化によって分断され、差別され、迫害されてきたという民族。

迫害と戦うためにリビアのカダフィ

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女性が支えたアメリカの戦後。『ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ』が示すデザインと多様な視点の重要性。

女性が支えたアメリカの戦後。『ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ』が示すデザインと多様な視点の重要性。

UPLINK見放題作品60本全部見ようのペースが落ちてきているのでちょっとスピードアップして1日2本ペースで見ようと思います。

今日のところはこちらのイームズのドキュメンタリー。

「イームズっていいよね」という軽い気持ちで見始めましたが、なかなか深い内容で、デザインに留まらず女性の社会的地位やコンピュータなど、現代的な問題意識に溢れた映画でした。

チャールズの影に隠れていたレイ・イームズが実

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