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シリーズ第9弾『柔道整復運動後療料』


いつも私のnoteをご覧いただきありがとうございます。

今回は久しぶりの『今さら聞けない!?保険請求のこと』シリーズ、

平成30年6月1日に新設された『柔道整復運動後療料』です。流石にご存じですかね?

外傷を日頃から見ている柔整師にとっては新設されたプラス改定でとってもありがたいのですが、『突っ込まれるのが面倒で請求していない』という声も未だに聞かれます。

何が突っ込まれるのか、どう面倒くさいのか、具体的に何をしたらいいのか。

この辺りの疑問を解決できるように、今回は解説していきたいと思います。

1、柔道整復運動後療料とは


前述したように平成30年6月1日より新設された料金で、具体的な記載は『療養費の支給基準』内の【柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準備考7】にあります。

まずはお堅いですが、文章をそのままご紹介します。

備考7.骨折、不全骨折又は脱臼に係る施術を行った後、運動機能の回復を目的とした各種運動を行った場合に柔道整復運動後療料として算定できる
備考7(1).負傷の日から15日間を除き、1週間に1回程度、1ヶ月(暦月)に5回を限度とし、後療時に算定できる。
備考7(2).当該負傷の日が月の15日以前の場合及び前月から施術を継続している者で、当該月の16日以降に後療が行われない場合には、当該月について2回を限度に算定できる。
備考7(3).部位、回数に関係なく1日320円とし、20分程度、柔道整復の一環としての運動による後療を実施した場合に算定できる。

そしてほぼ同じことが明記されているのが、【柔道整復師の施術に係る算定基準の実施状の留意事項 4 その他の事項 (7)柔道整復運動後療料】ですが、より詳細に記載されている部分では、

キ いわゆるストレッチングについては、柔道整復運動後療料を認められないこと。
ク 柔道整復運動後療料の算定となる日を支給申請書の「摘要」欄及び施術録に記載すること。

このように指定されています。※その他の部分は前述したものと被っているので省略します。

基本的にレセコンで入力するだけなんで対応はそれほど難しくないと思います。ただし、算定できるからしちゃおう、だけだと突っ込まれた時に対応出来なくなります。

次はそれを解説します。


2、柔道整復運動後療料についての返戻

これは請求する側と、審査する保険者側の認識の違いによって起こることがある問題です。

算定時の留意事項で『1週間に1回程度、月に5回まで』と記載があります。ここで問題になるのが『1週間に1回程度』の文言です。これが認識の相違を生む厄介な言葉で、、、

・算定日から7日空けないといけないのか
・月曜〜日曜のような『曜日』で1週間なのか
・1回『程度』ってことはやむを得ず2回でもいいのか

などいかようにも解釈できるのです。腹立ちますわ。この文言が原因の返戻が何件来たことか…

必ずしもきっちり曜日を決めて1週間ごとに来院する患者さんばかりではありません。むしろ骨折のリハビリなら毎日でもやりたい位です。『月に5回まで』というのはアホみたいな請求を抑制する目的があることは分かりますが、本来なら後療毎に算定したいくらい。

ですから実務上は来院したすべての後療で運動後療と言われるリハビリをしているので請求時に日付を選択して行うのが一般的です。

では、実際の返戻と再請求した事例を元にどう対策するか考えましょう。

返戻例)月に10回通院、5回分算定、ある週だけ4日しか間が開かずに算定

返戻(4日間しか空いていないところ指し)、〜運動後療料は1週間に1回程度です。1週間空いてませんのでご再考ください。

こんな返戻がありました。というかほとんどがこんな返戻です。笑

再請求理由)
1週間に1回程度というのは理解しております。ですが療養費の支給基準にも月曜日から日曜日までの『曜日』としての1週間か、算定日から起算して1週間か、という記載はございません。今回はすべて曜日として考えた際に1週間に1回の請求となっておりますので、なんら問題ないと思います。再請求させていただきますので、よろしくお願い致します。

概ね、毎回このような理由で再請求しほとんど振り込まれました。

つまり解釈がたくさんある、ということは逆手にとって返戻時の反論にも使えるということです。もし、今後この文言についてはっきりとした明記がされるようならそれに従って算定すれば良いだけです。

お役所の文章は言い切ると、例外に対応できず、配慮しすぎると多様な解釈を産み不要なトラブルになりかねません。

難しいもんですね。笑

3、運動後療って具体的に何をするの?


では最後になります。そもそも『柔道整復運動後療料』ってなんぞや。です。

私も新設される時にはこう思いました。ほとんどの柔整師は思ったんじゃないですかね。

前述しましたが、『ストレッチ』は支給対象外とされています。これはなんででしょうかね。骨折固定後に緊張した筋肉のストレッチを行うこともあると思いますが…

実はこれも解釈がたくさんありまして…。

自動『運動』も、他動『運動』も、自動介助『運動』も、具体的な指摘はありません。すべて運動による後療法です。

骨折のリハビリって皆さん何が思いつきますか?
エクササイズ?
モビライゼーション?
トレーニング?

運動機能の回復を目的としてこれら全部やりますよね。当たり前にやることだと思うんです。これを20分程度やると。病院だったら運動器リハ1単位20分です。必要最低限の時間だと思います。

もし先生が、明記されている条件に対して『20分もやらないわ』『ストレッチ以外何やんねん』のように思ったのであれば、私は算定する土俵に上がっていないと思います。理にかなった算定条件だと思いますから。

もしここにストレッチまで含んでしまってはリハ技術が無いのに算定する柔整師が増えることを危惧したのでしょうかね…。笑

先生が習得されてきた一般的なリハビリ技術をしっかり毎回やっていれば来院したどんな日でも算定して良いのです。

ぶっちゃけこの日に算定するか今日は少し長くしよう、なんて現場で思いません。毎回全力でリハビリしますから。

ですから、骨折・脱臼のリハビリでは算定条件に則った上で、どんどん算定していきましょう。

知識の弱い保険者には先ほどの再請求理由のように真っ当に反論して突き返しましょう。



いかがでしたでしょうか。

新設されてからもう数年経ちますから、実務の中で普通に算定している先生も多いと思います。

知らないで算定していないなら勿体無いです。

ちゃんとルールに則って自分の技術に対する対価をちゃんと請求する癖をつけてくださいね!

ではまた次のnoteでお会いしましょう(^^)

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