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素敵な「もの」の世界#4~「屋久杉トレー」の願い~
シンプルな丸いトレーが欲しくてネットで探し、「屋久杉」ということに惹かれ新品中古で購入したトレー。屋久杉なのでK先生に見ていただこうと思いました。
最初に見ていただいた時「うーん、これは生きていないなあ。生きていない、というより休眠しているという感じかな?どんな状態で置かれていたかわかる?」と言われ「箱に入ったまま物置などにしまわれていたようです」とお伝えしたら「物も使ってあげないと生きないんだよね。朝日に1か月くらい当ててあげて」と言われました。
朝日に1か月ほど当ててから持って行ったところ「いいね!輝きだしたね。いっぱい撫でたり声をかけたりするといいよ」とのこと。そして「できたらね、細かい紙やすりのようなもので表面を磨いてあげるといいかも」とも。
そんなわけで、紙やすりを買って恐る恐る表面を磨いてみましたが、木の節があるのでなかなかツルツル、というわけにはいかず。「こんなんでいいのかなあ」と心配になり、もしかして専門の方に頼んでちゃんと磨いた方がいいのかなあ、と思ったりしていました。でも、なんとなくそれも違うような気がして・・・
あまり綺麗に磨かれたとは言えないトレーを見てもらったところ「磨く、というのはお店に頼んで機材など使って綺麗にしてもらいたい、という意味では全くないんだよね。これはね木だった時に本当に世のため人のためずっとずっと尽くしてきた。でも、誰も自分のことを気にかけてくれる人はいなかった。だから今度はたくさん自分に想いをかけてもらいたいと願っている。あなたが磨いて磨いて穴が開いてしまったとしたら、それこそすごく喜ぶよ。そういうこと」とのこと。思わず涙が溢れそうになりました。
「すごく健気ですね」とお伝えしたら「うん、健気だね」と・・・
ああ、そういうことなのね。人のために動く優しい思いやりのある人(もの)であればあるほど、自分を想ってくれる気にかけてくれる存在も必要なのね。
屋久杉トレーさん、私があなたのそんな存在になります。撫でて時々磨いて、お茶を一緒にして・・・これからのトレー人生を目一杯一緒に楽しみましょう。あなたは私より長生きするでしょうから、これを譲り受ける人にも伝えますね。
私が綴る物語は、どれも証明はできないものばかり。でも「そういうこともあるかもしれない」と心に少しだけ留めていただくだけでも、世の中が優しく愛あるものになるのではないか、そう思って綴っています。
「屋久杉トレーの願い」、心ある方に届きますように・・・