見出し画像

DV防止法_2024法改正

家庭内暴力はなかなか相談することができにくい問題です。
友人にも相談できず、悩まれている方はいませんか
あなたの自由を奪うことも対象になります。


DV被害者を守るためのDV防止法とは?

配偶者暴力防止法の正式名称は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」であり、いわゆる「DV防止法」といわれている法律です。

2024年4月1日から、改正DV防止法(配偶者暴力防止法)が施行されました。近年、社会問題として深刻化するDV(家庭内での暴力)に対し、より被害者の保護を強化することを目的としています。今回の改正では、これまで以上に幅広い被害に対応できるよう、様々な変更が加えられています。

保護命令制度とは

保護命令制度は、被害者の申立てに基づき、裁判所が加害者である配偶者に対して、被害者への接近やつきまといなどの行為を禁止する命令を発令する制度です。この命令に違反した場合は刑罰の対象となります。

「配偶者」の定義

本制度における「配偶者」には以下が該当します。

  1. 法律婚の相手方

  2. 事実婚の相手方

  3. 生活の本拠を共にする交際相手

    • ただし、婚姻関係に類する共同生活を営んでいない者は除く

※ 離婚後も暴力が継続する場合、元配偶者も対象となります。
※ 同性カップル間の暴力も保護命令の対象となった実績があります。

保護命令の種類

保護命令には以下の6種類があります。

  1. 被害者への接近禁止命令

    • 期間:1年間

    • 内容:被害者へのつきまとい、住居・勤務先等の付近のはいかいを禁止

  2. 被害者への電話等禁止命令

    • 禁止される行為:

      • 面会要求

      • 行動監視の告知

      • 著しく粗野乱暴な言動

      • 無言電話、不必要な連続連絡

      • 深夜早朝の連絡

      • 汚物送付

      • 名誉毀損

      • 性的羞恥心を害する行為

      • GPS等による位置情報取得

  3. 被害者の同居の子への接近禁止命令

    • 要件:被害者との面会を余儀なくされることを防止するために必要と認められること

    • 15歳以上の子の場合は本人の同意が必要

  4. 被害者の同居の子への電話等禁止命令

    • 被害者への電話等禁止命令と同様の行為を子に対して禁止

  5. 被害者の親族等への接近禁止命令

    • 対象:被害者の親族(成年の子を含む)や密接な関係者

    • 親族等の同意が必要

  6. 退去等命令

    • 期間:2か月間(特定条件下で6か月)

    • 内容:共同生活の本拠からの退去および付近のはいかい禁止

保護命令違反への罰則

保護命令に違反した場合の罰則

  • 2年以下の拘禁刑※または200万円以下の罰金
    ※ 令和7年(2025年)5月31日までは懲役

保護命令の申立て方法

  1. 申立書の作成
    必要記載事項:

    • 暴力を受けた状況

    • 保護命令の要件を満たす事情

  2. 管轄地方裁判所への提出

支援体制

配偶者暴力相談支援センターでは以下の支援を提供しています

  • 制度利用に関する情報提供

  • 助言

  • 関係機関への連絡

  • 申立書の記入方法の案内

※配偶者暴力相談支援センターや警察への相談歴がない場合は以下が必要です。

  • 供述書の作成が必要

  • 公証人による認証(11,000円)が必要


改正DV防止法の主なポイント

今回の改正DV防止法では、大きく分けて以下の3つのポイントが挙げられます。

1. 保護命令制度の拡充

  • 申立て可能な被害の範囲が拡大:従来の身体的暴力や生命・身体への脅迫だけでなく、自由、名誉、財産に対する脅迫を受けた場合も保護命令の申立てが可能になりました。

  • 精神的暴力への適用:これまで身体的暴力に限られていた保護命令が、言葉や態度による精神的暴力にも適用されるようになりました。

  • 保護命令の期間延長:接近禁止命令等の期間が6か月間から1年間に延長されました。

2. 新たな保護命令の種類

  • 電話等禁止命令の対象にSNS等の送信、GPS位置情報の無承諾取得などが追加されました。

  • 被害者と同居する未成年の子への電話等禁止命令が新設されました。

3. その他の改正点

  • 保護命令違反の罰則が厳罰化されました。(1年以下の懲役または100万円以下の罰金から、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に)

  • 国の基本方針や都道府県の基本計画に被害者の自立支援や関係機関の連携に関する事項が追加されました。

  • DV防止・被害者保護に関する協議会が法定化されました。

まとめ

今回の改正により、精神的・経済的暴力を含むより広範なDV被害に対応できるようになり、被害者保護の強化が図られています。外出や通学・通勤を禁止される束縛も対象になります。

「DV防止法」の対象となるのは、あくまでも「同居する」配偶者(元配偶者)、交際相手です。
 同居していない「デートDV」は、「DV防止法」のような強力な規制法がありません。しかし現実には、被害が広がっているとの報道があり、今後の課題になっています。

DVは深刻な人権侵害です。決して許されるものではなく、一人で抱え込まず、相談機関などを頼ることが大切です。それにより、必要な支援を受けることができ、あなたとあなたの家族の安全を守ることに繫がります。

参考資料:

https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/law/pdf/r5_01.pdf

https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/law/pdf/pamphlet_02.pdf(パンフレット)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?