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事実婚でも遺族年金はもらえます!
受給条件と手続きをわかりやすく解説
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「事実婚の場合、遺族年金はもらえるの?」と不安に思っている方もいるでしょう。結論から言うと、一定の条件を満たせば事実婚でも遺族年金を受給できます。
国民年金法・厚生年金法に記載されている「配偶者」「夫」「妻」には、事実婚の配偶者を含みます。つまり、事実婚の配偶者は、遺族基礎・厚生年金の遺族に含まれます。
遺族基礎・厚生年金の遺族に、事実婚の配偶者が含まれるかは、国民年金法に記載されています。以下は、国民年金法の条文です。
(用語の定義)第五条 (省略)7 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
以下は、厚生年金法の条文です。
(用語の定義)
第三条 (省略)
2 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
この記事では、事実婚で遺族年金を受給するための条件や必要書類、手続きについて詳しく解説します。
事実婚で遺族年金を受給するための条件
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事実婚で遺族年金を受給するには、日本年金機構に「事実婚状態」であることを認めてもらう必要があります。具体的には、以下の2つの条件を満たす必要があります。
夫婦となる合意: 二人で夫婦になるという明確な合意があること。
社会的に夫婦と認められる事実関係: 社会通念上、夫婦として生活している事実関係があること。
これらの条件を満たしているかどうかは、提出書類に基づいて総合的に判断されます。
事実婚を証明するための書類例
事実婚状態を証明するために、様々な書類を提出する必要があります。代表的な書類例は以下の通りです。
①住民票上同一世帯に属している
住民票の住所が同じで、かつ、世帯も同じであれば、住民票が事実婚を証明する資料となります。事実婚の夫婦であっても同一世帯にできるので、理由がなければ同一世帯にしておきましょう。
②住民票上の住所は同じだが世帯は別
住民票上の住所は同じですが、世帯は別になっている場合です。住民票だけでは事実婚とは判断できないので、別の書類も提出する必要があります。
③住民票上の住所は違うが同居していた
住民票上の住所は違いますが、実際は同居していた場合です。住民票では事実婚が判断できないので、別の書類を提出する必要があります。
④事実婚だが事情があり別々に暮らしていた
事実婚の夫婦であっても、事情があり別々に暮らしている場合があります。例えば、単身赴任中で一時的に住所が違う場合や親の介護をするために、実家に戻っている場合などが考えられます。住民票では事実婚が判断できないので、別の書類を提出する必要があります。
事実婚だと判断するための資料
健康保険の被扶養者(または任意継続被保険者)の資格取得を証明する書類: 配偶者として扶養されている、またはされていた事実を証明する上で強力な証拠となります。
結婚式の写真や式場の証明書: 挙式を行った事実があれば、提出しましょう。
葬儀を主宰したことがわかる書類: 葬儀の喪主を務めたことがわかる書類は、有力な証拠となります。
連名の郵便物や公共料金の領収書: 長期間にわたる同居や生活の実態を示す補助的な証拠となります。
戸籍謄本(死亡した方の): 婚姻関係がないことを証明するために必要です。
申立書: 事実婚の状態であった期間や経緯などを詳細に記載した申立書も重要です。
上記以外にも、事実婚状態を証明する資料があれば、提出することをおすすめします。必要書類はケースバイケースで異なるため、事前に年金事務所へ相談するとスムーズです。
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請求手続きと注意点
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遺族年金は請求しないと受給できません。
請求期限は死亡した日の翌日から5年以内です。
(期限を過ぎると受給できなくなるため、注意が必要です)
遺族年金は相続財産には含まれません。
事実婚の場合、必要書類の準備に時間がかかる場合もあります。なるべく早く年金事務所に相談し、必要な書類を確認した上で、速やかに請求手続きを行いましょう。
まとめ
様々な考え方や事情で、籍を入れていなくても、お互いが夫婦の様に支えあって生きて行く場合、あなたがいなくなったあと、遺せる方法があります。
パートナーの立場や生活を守るために、二人の事実婚を証明できるものを作っておきましょう。
事実婚でも、条件を満たせば遺族年金を受給できます。早くから必要な書類を知り、揃え、準備をしておくことで、万が一の際には慌てず、手続きが出来ます。
誰の許可は必要ありません。期限内に請求手続きを行いましょう。不明な点があれば、お近くの年金事務所に相談することをおすすめします。