見出し画像

芸術を観に行くことは不要不急の外出なのか?


第二次世界大戦中、日本では食糧不足を補うため、花を植える場所に野菜を植えるため、「花禁止令」が出ました。
花の種を残す人でさえ、非国民と言われたそうです。
 
その時代に山でランを採取することを生業にしている父と娘たち親子の物語を描いた劇団桟敷童子「獣唄(ケモノウタ)」。
紀伊国屋演劇賞なども受賞した名作は、
ダイナミックな舞台美術、突きささる台詞、役者たちの芝居のエネルギーに圧倒されます。
 
華やかな花で潤っていた心が、
「不急作物」として育てることが統制され、
価値観が変化していき、
漠然とした不安が漂い、
自粛ムードでピリピリしていき、
荒んでいく空気に、
いつしかコロナ禍で不要不急を強いられる今の生活に重ね合わせていました。
 
今は、減った(と思います)自粛警察に近い考えを持つ方々と、
「不要不急」の行為の中に、映画や舞台、美術館に行くことが含まれるかの話になったことがあります。
非常時に芸術は何の役にも立たず、
そんなに触れたければ本を読めばいいとおっしゃいました。

正しいか正しくないかの議論ではなく、
あくまで選択なのではないでしょうかと申し上げました。
 
少なくとも僕は言葉だけでは表せない表現を浴び、
頭で考えるのではなく感じることが、
思考に刺激を与え、人生が潤い、
そういった人が増えることが国の豊かさにつながるとも思うんですよね。
 
「花も育てられない国が戦争に勝てるわけがない」
 劇中のセリフが刺さりました。
 
 観劇後、散歩していた大横川親水公園。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?