和醸良酒
80歳を超えてから酒を飲むようになった母は、この時期、日本酒を選ぶことが多い。
昨年放送された「プロフェッショナル」の録画を観ながら晩酌しておりました。
齋彌酒造の高橋杜氏を追ったドキュメンタリー。
パートナーの母は、この酒蔵の長女として生まれました。
120年近い老舗の酒蔵は「由利政宗」で知られていますが、今は「雪の茅舎(ぼうしゃ)」の方が知られているかもしれません。
「茅舎」とはかやぶきの家を意味します。
ホワイトマンプロジェクトでカフェをやっていた時、唯一、置かれていた日本酒が「雪の茅舎」でした。
当時、日本酒の国内出荷量が激減した頃で、飲食店のアドバイスをしてくださる方々もホワイトマンカフェの客層から考えると日本酒は出ないから置かなくてもいいとおっしゃっていたくらい。
しかし、「雪の茅舎」は、よく出ました。
もちろん、パートナーの血縁関係の日本酒ということで頼んでくださったのでしょうが、その後のリピーターが多かったのです。
1本買っていかれる方もいらっしゃいました。
日本酒は今も国内出荷量は下がったままですが、
世界の食の好みは日本酒に合う傾向になりつつあるようで、
この20年で輸出量は約3倍、輸出金額は約8倍にまで成長しています。
もちろん日本酒業界の努力もあるのでしょう。
インドはムンバイで営業中だった岩手の酒蔵の社長を紹介していただき、飲み歩きながら、日本酒の未来をうかがったこともありました。
高橋杜氏の話に戻すと僕は彼が大切にしている言葉が大好きです。
「和醸良酒」。
人の和が良いお酒を醸し、
良いお酒は人と人の和を深めるというもの。
いろいろな事柄に通じるように思います。
「私、挨拶に行かんでいいんかね?」
母は届いた日本酒を眺めながら申します。
だから、高橋杜氏はパートナーと血は繋がっていないんだって。
僕の言葉など聞く気はなく、秋田に行く気満々です。
やれやれ。
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