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8円の大冒険

昔、米軍が使っていたジープを改造したバス「ジプニー」があります。
荷台に向かい合わせのベンチが設置され、16名ほど座れるでしょうか。
マニラ市民の足の一つになっています。

散歩中、見かけない場所がないほど、どこに行っても、かなりの数走っているのですが、
バス停があるわけでもなく、
脇や後ろに行き先が書かれているだけ。

道端にたむろしている人たちがいて、
そこにジムニーが止まって乗り込む常連らしき人、
交差点で信号を渡りながら乗り込む人、
渋滞でノロノロ動いている運転手に聞いて乗る人など様々。

乗車賃もわからないし、
土地勘もないので、
数日滞在しているくらいでは利用しづらい。

散歩中、ショッピングモール近くにジプニーが集うバスターミナルを見つけました。
行き先ごとに手配師のようなおばちゃんが乗る際にお金を集めて、運転手に渡しています。

これなら乗れそうな気がしてきました。
僕が知っている高架鉄道(5分に1本程度走ってるので、利用しています)の知っている駅が書かれた車が停まるベンチに座っていると、どうやら乗客希望者は列に並んでいるらしい。
僕も並ぶことに。
100メートルほど並んでいました。
夕暮れ時の帰宅時間に重なったということもあるのでしょう。

一台に詰め込まれ、外にしがみつくようにして乗る人もいらっしゃいます。

あいかわらず、乗車賃は、わかりませんが、やりとりを注意深く見ていると50ペソ紙幣(約130円)を渡して、お釣りをもらっているので、僕も同じ紙幣を、すぐ渡せるよう握りしめます。

ミャンマーで体験したように、しがみつくように乗る覚悟をしつつも、
少しワクワクしていたら、
僕の前で出発してしまいました。

次に来たバスで50ペソ紙幣を渡し、お釣りのコインをもらい、ジーンズの前ポケットに突っ込み、乗り込みます。
最初の乗客なので一番奥、つまり、運転席の真後ろに座ることに。
運転席の様子が眺められるので楽しい。

運転席のインパネ(計器盤)パネルは全く機能しておらず、
様々な配線はむき出し。
しかし、車内には凝った電気が灯り、
ベンチの下に設置された大きなスピーカーからは、80年代らしきアメリカのロックがガンガン流れています。

出発してからも、
途中で人がぶら下がるように乗ってきます。
すると隣からお金が回ってきました。
乗車賃の受け渡しは乗客が行うのです。
運転手は僕が受け取るのを気配で気がつき、顔は前を向いたまま、右手を後ろに出して受け取ってくれます。

そして、運転しながら、
ダッシュボードの上に広げられたコイン(彼なり整理されていました)から釣り銭を拾い上げ、顔は前を向いたまま、渡してくれ、
僕は後ろに回していく……の繰り返し。

ホテルに戻り、ポケットの中身の釣り銭を確認すると47ペソもあるではありませんか。
3ペソ(約8円)しか払っていないことになります。
ネットで見たら最低12ぺソと書かれている表記を見つけたので、おばちゃん間違えちゃったのかもしれません。
今日はホテルのチップを少し多めに置いておこうと思います。

8円の大冒険(僕にとって)は楽しうごさいました。



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