柳ケ瀬に流れる時間
地形図では「ヶ」ではなく、大きい「ケ」を使用するらしい。
岐阜県を代表する繁華街「柳ケ瀬」のことを僕は知らないんだよなぁ。
特に、この街の夜の顔は、全くと言っていいほど。
昨晩、20代の頃から、この街に慣れ親しんできた先輩に連れて行っていただきました。
といっても、コロナ禍もあり、先輩も3年ぶりらしい。
1軒目は入口をくぐって入る隠れ家的な店へ。
この日、使用するダシが入ったぐい吞みの器と小皿に削りたてのかつお節を目の前に並べてくださいます。
ボキャブラリーのない僕は「美味しい……」しか出てきません。
そこから、クエ、ナマラ、ヒゲダラ、アオリイカ、カジキ、サワラ、マグロ、ムツ……一皿づつ出てくる絶品の魚料理に
「岐阜の海?」と冗談を言ってしまうほど。
料理人は、10年ほど前、「日本さかな検定」にて、全国の猛者370人中1位に輝き、話題になった実力の持ち主。
当時の新聞記事を拝読すると、仕事を終えてから、北陸や愛知まで、夜中に車を走らせ、車中で仮眠をとって、市場に買い出しに行く徹底ぶり。
「さらに進化してる……」
先輩がつぶやきます。
料理を運んでくださる奥さまの話によると、
コロナ禍の3年間、
店は閉めている日の方が多かったけれど、料理人は毎日、店に通い、研究を続けたらしい。
驚くのは魚だけではないこと。
越冬させたじゃがいもを使った料理にも感動しました。
北海道など雪国では、冬の間、じゃがいもを雪の中に保存するのだとか。
0度に保つことで、じゃがいもは生き続け、甘みが増すらしい。
食事の後は、先輩の30年近い友人が経営するスナックへ。
「人生はスナックで学べ」的な話を、よく耳にしますが、僕は、人生の中で数えるほどしか行ったことがありません。
スナック、ラウンジ、クラブの違いから学び、
コロナ禍でお客さんが全くいない時も店を開け続けたママから、
「お客さんを待つのも、大切な時間ですから」
と忘れられない言葉をいただきました。
この3年間で成長し続ける方々に触れて刺激を受けると同時に、「とほほ」と自分を顧みながら、幸せな柳ケ瀬の時間を過ごしました。
写真は1軒目にて。
琵琶湖の流木を器にしたアオリイカ。
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