100万円Tシャツ
「今、こんな生地を作っとるんやて!」
近所に住む川村さんは、いつも子供のような目で説明してくださいます。
僕の頭では話の3分の1も理解できませんが聞いていて楽しい。
ニットメーカーの社長で、年齢は存じ上げませんが高齢者に入るのでしょう。
没頭している人って年齢を忘れさせます。
10年ほど前、盛り上がっていた「100万円のTシャツを作ろう!」企画。
いや、「盛り上がっていた」のは僕だけで周囲は笑っていたのですが、川村さんだけは違いました。
「あの幻の糸なら、それだけの価値があるTシャツが創れるかもしれん」
そう言って、染物屋の社長を紹介してくださり、幻の糸を持っている鳥取県の会社の社長のところまで僕を連れて行ってくださったのです。
結局、100万円Tシャツの試作だけで1千万円以上かかることがわかり、断念したんですけどね。
ちょうど同じ時期に川村さんが開発していた生地は、先月、高機能マスクの素材として日の目を見たそうです。
先月、新聞やネットニュースでも取り上げられ、安八町にも寄付してくださいました。
同じ時期と言いながらも「100万円のTシャツを作ろう!」企画の生地や糸とは全く関係ありません。
昨日も興奮気味に電話があり、その後、自宅にも立ち寄ってくださったのですが、あいかわらず僕には、ほとんど理解できませんでした。
でも、きっと、また、すごい生地を作ろうとしているんだろうなぁ。
楽しみにしております。