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89歳になる演出家と脚本家

89歳になられるのだとか。
劇団「ステージドア」主宰で演出と脚本を担当する伊藤さん。

昨日、下北沢の劇場で約3年ぶりの公演に伺い、久しぶりにお目にかかり、お話をうががっていました。

昔、遠藤周作さんが主宰され、亡くなるまで続けられていたミュージカル劇団があります。
素人劇団「樹座」。
僕は一年だけ参加させていたいただき、そこでパートナーと出会いました。
当時、彼女は歌唱指導助手をしていたのです。

その樹座から派生してできたのが「ステージドア」。
やはり、こちらもミュージカル劇団。
旗揚げから2年ほどは、僕もお手伝いし、
パートナーは30年間、音楽を担当しています。

劇団員の平均年齢は60歳を超え、
80歳を超えた女優も何名かいらっしゃるんじゃないでしょうか。
既に逝った女優、男優も何名かいらっしゃり、
元芸者の女優の葬儀でスカウトされた甥っ子が、参加されるようになったりと何とも不思議な劇団です。

初体験の観客の中には驚く方も多い。
あまりの下手さに
「こんな茶番劇2度と観るか!」
と怒り出す人もいれば、
ハマってしまう人と両極端の反応が面白い。
インドを訪れた旅人の感想を聞いている感じかなぁ。
だから、ロビーやトイレで耳をダンボにして観客の感想を盗み聞きする時間も好きです。

紆余曲折の人生を歩んできたからこそ出てくるであろう独特の間でポツリポツリと話し、
歌い始める姿は妙に心が打たれることがあるのです。
それがハマる理由の一つなのかもしれません。

僕同様ハマっている友人とは、
毎年、ステージドアの舞台の客席で再会し、
終演後、2人で酒を酌み交わすことが通例です。
昨日は、ミカン下北内の飲食店で。

彼女と舞台を思い出しながら笑い、
互いの一年分の近況を語り合って笑っていると時間を忘れてしまいます。
以前、終電を逃し、タクシーで帰ったこともあったなぁ。

こうして、
「じゃ、また来年!」
    と別れるのです。
それも、また、大きな楽しみの一つ、

さて、ステージドアは昨晩のリハビリ公演(と僕は呼んでいます)を経て、
来年8月は再び東京芸術劇場で行われる予定らしい。
伊藤さん、90歳かぁ。

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