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一瞬の映像で蘇る島の記憶

一瞬、写真や映像が目に入っただけで、「あれ?行ったことあるかも?」と身体が止まることがあります。
普段の記憶力は悪いのに、あの感覚は不思議。
 
昨日の夕方のことです。
毎週、火曜日に炊く赤飯用の小豆を煮ている鍋の様子を見に台所を行ったり来たり、
その間に洗濯物を取り込み、
次の草を求めてヤギを繋ぐ場所を変え、
畑の花や作物への水やり、
郵便ポストの確認など……慌ただしく過ぎていきました。
その間、母は「一橋桐子の犯罪日記」の最終回を観ていたのです。
 
松坂慶子演じる桐子は高齢者の一人暮らし。
刑務所に入ることを夢見て、様々なことを企むのですが、全て失敗します。
しかし、失敗を繰り返すうちに生き抜く気力が芽生えてきたらしい。
亡くなった親友が連れていきたいと言っていた島へ彼女の墓参りに出向きます。
 集中して観てはいないけれど、なんとなくそんな感じかと。

雑用がひと段落したので、晩食のつまみの準備で、
祖父江の銀杏と木槌を持って一緒に座った際、
画面に映った大木に目が留まったのです。
 
「これ、どこ?」と母に聞くのですが、「知らん。島やろ?」と僕の求めた答えは母から返ってきません。
スマホを手に取り、写真を保存しているクラウドに繋ぎ、「三豊市」で検索すると大木が出てきました。
地面を這う様な木の張り具合が一緒です。
志々島に間違いありません。
 
三豊市滞在中、ヤギがいると聞き、ふらりと島へ渡ったこと、
珍しい墓(小さな小屋になっています)があったこと、
岸壁で昼寝していたら、住民に声をかけられ、山の上のクスの木を薦められたこと、
その木を眺めて座っていたら、日本の大木のドキュメンタリーを創っているNHK取材班が現れ、人(僕)がいて驚かれたこと、
移住したご夫婦が切り盛りするカフェで船が出るまで島の話を聞かせてくれたことなど、
旅の記憶が、ふわっと蘇ってきました。
 
ドラマの中では架空の島になっていましたが、
桐子は、その島に住むことに決め、
島の小学校のお掃除おばあさんとして働くことでエンディングを迎えます。
 
実際の志々島はというと、過疎化が進み、現在、20名も住んでいません。
僕も高齢者になったら、
身体が動く間は、こうした島も住む拠点の一つにして、
文字を綴る生活も選択肢として頭をよぎるんだよなぁ。

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